1358ページ目 政府の少子化対策とスパイト行動

何が何でも政府は2026年から少子化対策財源を大義名分に社会保険料を上げたいようです(読売新聞記事「「次元の異なる少子化対策」財源の支援金制度、26年度から実施…こども家庭庁が素案提示」マイクロソフトスタート)。

一方で大企業中心の法人税増税は見送りですから実質的に負け組一般国民を逆進性の凶悪な負担で締めあげて殲滅する強い意思が伝わってきます。

 

冗談じゃありませんよそんなディストピアは。

どんな大義名分があろうとさすがに死んでくださいと言われて死ぬ気はありません。

実際に徴収が始まるあたりで戦争とか大震災とか発生していたら相当難しいことになる、生活が困窮して死ぬほど大変なことになっているのに子育て世帯への支援で負担を増やされたら憎しみと分断が増えるのが想像に難くありません。

政府に対する不支持率だけじゃなくて支援を受ける子育て世帯、しかも基本的に年収が高く若いほど婚姻率も出産率も上がるので子育て世帯の多くは上級国民ということになるので二重三重に視線が厳しくなるかなと思います。

公園や道路など公共の場所で子供が騒いだらものすごく怒り出す人が増えるでしょうね。

大学無償化の話もありますがもし大学生が何か問題を起こしたらこんなクズ学生のために社会保険料とか税金を払ってやったわけではない!日大アメフト部の大麻問題とかありますが今よりずっとバッシングの声は大きくなるでしょうね。

不良学生を税金や社会保険料で面倒を見たくないので当然に廃部にすべきだ!大麻に限らず不祥事を起こした学生は退学処分にすべきだ!といったことを言い出す人は相当増えるんじゃないかと。

もちろん無償化をいいことに学費を値上げした大学に対するバッシングも厳しくなる、教員や役員がガバナンス関係で問題を起こしたらよりガバナンスを厳格化すべきだ、学生の授業料が公金で賄われるなら当然に説明責任が発生するし不祥事についても厳罰化すべきだといった話になってきます。

子供だから仕方ないだと?子供であっても公共ルールは守れといった正義を述べる人が増える、今まではどうでもよくてなあなあで済ませていたことも寛容さを失ってきっちりやらないと済まない人が増える、自発的な助け合いとか政府の支援があるからやらなくていいよねという人が増え結果として逆に子育て世帯が居づらくなる、政府がルールによって強制した支援以外の自発的な支援を受けられなくなり社会全体から受け取ることが出来る支援の総量が減少する可能性すらあります。

さらに子育てに限った話でなくそれ以外の場面でも諍いが絶えない社会になることも想定されます。

感情的で怒りっぽく正義中毒な人は金持ちになれないだなんて話もありますが(オールアバウト記事「怒りっぽい人や正義中毒の人はお金持ちになれない?感情的になると貧乏になる理由」)むしろカネを持っていないから感情的で怒りっぽく正義中毒になるのではないか、怒らないでまあお茶でも一杯飲んで落ち着こうぜって財布にカネが入っていない人にいったらどう思うでしょうね。

その落ち着く一杯の茶を飲むカネすらないから怒ってんだよ!とさらに怒り出すか怒る気力すら萎えて悲嘆にくれるとかマイナスの感情がより増幅されるのではないかと。

ささいなことでキレやすくなる人がたくさん増えて子育て以外でも様々な場所で炎上案件が発生しやすくなりますます委縮をせざるを得なくなるかもしれませんね。

喧嘩しなくて済むのは損失を受け入れるだけの余裕が財布と心にあるからなのです。

お茶の一杯を買う分のお金すら奪っておいて税や社会保険料の負担増で怒るような人は金持ちになれないとか財布と心の余裕を削るんですから当然と言えば当然です。

加害者である上級国民が偉そうに怒るから貧乏人は貧乏人なんだよと蔑んだところで上級国民に対するヘイトはますます悪化するだけでしょうね。

 

全部可能性とか懸念の話かと言うとそうとも言い切れません。

既に民間でも子育て世帯を手厚く支援したものの逆にそれが不和を招き職場の効率が下がったという結末を迎えてた事例もあります。

資生堂ショックです(ゲンダイ記事「資生堂ショック「産まない女子」と「産んだ女子」が職場で大ゲンカ」)。

まあそりゃそうでしょう。

産んだ本人は産休育休で手当てを貰えるけどその間の業務のしわ寄せは産まない社員が全部被りしかも収入が増えるわけでもありません。

独身者だって婚活したいのに既に産んだ人の支援に時間が奪われ婚活が進まず結局結婚も出産も時期を逃すリスクだってあります。

しわ寄せされる人からすればまた産むのかよ…と思うのも無理もありません。

逆に産んだ側からすれば出産したら出世できないのはおかしい、同じ社員なのに独身者が出世するのは納得いかないとなるわけです。

育休産休もルールに基づいて取得しておりルールに従っているのだから文句を言われる筋合いはない、悔しかったら結婚出産すれば?という話になってきます。

言われた未婚子なし側も、いやだからお前が育休産休とるから仕事が増えて婚活妊活できないんだって言ってんだろ!という話に戻り結局同じ話のループがずっと続きます。

この種の平行線が続く対立をずっと続けていれば職場の分断だって進むでしょうね。

育休産休をとるか出世をとるかの話になると両方とも社会的な課題で少子化対策推進と女性の社会進出と真っ向からぶつかります。

育休産休も取得出来て出世もできるのが理想なんですけど時間と人的資源は有限なので政府が言うほど民間企業内で仲良くできるかというと残念ながら困難なのが現実です。

結局資生堂は優遇措置を縮小しました(東洋経済記事「育児社員への配慮やめます」、資生堂の意図 子育て中の美容部員を優遇するのは不公平か」)。

反発の声は大きくならず結局対立は収束していったそうです。

 

元々女性比率が高く女性が活躍する土壌が他の企業より整っていた資生堂ですらあれほどの混乱が起きたことを考えると政府の旗振りで異次元の少子化対策をやったところで負担のしわ寄せをフルに被るその他大勢が納得するとは思えませんね。

様々な対立と意地悪が発生する懸念がぬぐえませんけどそういえば日本人は性格的に他民族より意地悪だという話がありましたね(スマートフラッシュ記事「自分が損をしても相手に儲けさせたくない…日本人を縛る「スパイト行動」とはなにか」)。

日本の失われた30年は経済が成長しないゼロサムゲームでしたが相手の利益は自分の不利益になるんですから当然スパイト行動を選択するのが合理的な生存戦略となります。

自分も損をしますがそれでもやらないとより一層限られた資源配分で一人負けして損をするのでやらざるを得ないのです。

そういう日本人の精神性を無視して子育て世帯だけ異次元の優遇をしたり、大企業だけ現金を300兆円も溜め込んだり、たった150万人にも満たない富裕層が純金融資産3000万円にも満たない貯蓄しかないマス層がもつ純金融資産合計の半分以上を溜め込むのを放置したり、清和会みたいにパーティー券で裏金を作っていたりとかしていたらそりゃ負け組一般国民からヘイトを集めるのは当然、というかGDPは増えてないのにこの人たちだけカネを独占するから負け組にカネが回ってこないわけで全力でスパイト行動に走らないと明日は今日より貧しくなるのが明々白々なのですよ。

スパイトが見苦しいとか助け合わないと全体の富が増えないとか言っても現実に30年間で富の独占が進んだ、氷河期世代とか若い頃は非正規も正規も薄給ブラックな待遇で会社に貢献したけど豊かになれず日本はギバーよりテイカーの方が豊かになれる国であることが証明されました。

そんな国で将来の為に少子化対策をやるので協力してくださいと言われたって協力できない、信用できないと思うのは当然の話です。

まあ国から強制的に奪われる分、子育て世帯には自発的に協力するのはやめよう、実際自発的に協力できる分のリソースというか余裕は気持ちの上でも財布の上でもありませんしルールで決められた最低限のこと以外は絶対にやらないぞ、他の理由をつけてなるべく子育て世帯の負担を増やしてやろうという意地悪をする人が増えても不思議ではありません。

格差社会で子育て世帯以外についてもマウンティングに敏感でZ世代など目立つことを極度に恐れているようですがこの世代から負担金を徴収して余計に結婚しなくなって少子化がさらに進んだらどうなるか、育休産休をとったら目立つ、いや、少子化が進む中で子供がいると言う時点でもう少数派になりつつあるわけですから一斉にSNSとかでつつかれるリスクを考えたら色々と二の足を踏むようになるかもしれません。

ちょっと子育ての苦労を語っただけで子育て世帯以外からそれはぜいたくな悩みだ!苦労を語っている振りをしつつ実はマウンティングしてるだろ!といった話にもなりかねません。

カネの問題だけじゃなくて共感を得られるかも育児や出産で心理的な負担を下げるのに大事な要素なのですがわざわざカネの問題で子育て世帯が共感を得られにくくしたらかえって子育ての重圧が高まるのではないかと思うのです。

 

日本人の精神性を考えずにわざわざ異次元の負担増とかヘイトを増やす政策をとってしまってこれが後々の禍根になる、対立と分断が一線を越えて本格的な変革に至る導火線の一本になるのではないかという気がします。

実際に2026年に徴収が始まるとすればなかなかカオスなことになると思うので何が起きても生き残れる分の備えはしておいた方がいいのかなと思います。