1496ページ目 岸田漫遊記 フランス

フランスと日本で喫緊の課題って何かありましたかね。

GWで岸田上等兵はフランスを訪問するそうです。
今回の訪仏はマクロン大統領との首脳会談及びOECDの閣僚理事会に出席するためとのこと。
一応日本が議長国でもあるのでOECD本部があるパリに総理大臣が顔を出さないのも不味いようです。
フランス訪問というよりパリ訪問という感じですがちょっとフランスと日本の関係を振り返ってみましょうか。


この国はだいたい7000万人弱の人口で日本の人口の2分の1より少し多い程度、国土は54万4千平方キロメートルで日本の1.4倍、首都は花の都パリでGDPは3兆1千ドルで世界7位です。なお2020年時点では2兆6千億ドルでした。5千億ドル増やしてますけど日本は2020年に5兆ドルから2023年4兆1千億ドルで9千億ドルも減らしてます。
防衛費は2020年時点で527億ドルでしたが同時期の日本は491億ドルで日本より人口も経済も規模は小さいけど第二次世界大戦戦勝国で今も旧植民地に強い影響力を及ぼすことができるのはこの軍事力が一因なのでしょうね。


フランスとの正式な国家関係は江戸時代末期から始まり軍事や紡績、法学や絵画、自由民権思想等々先進技術や文化、思想の導入でもお世話になりましたがパリ万博にも日本というか江戸幕府薩摩藩佐賀藩が出展してますね。
幕府とは別の立場という姿勢を示すためだったんでしょうが大阪万博でも台湾は民間パビリオンとしてですが出展はします(産経新聞記事「台湾、万博は民間パビリオン 中国反対で「実をとる」」)。パレスチナも出展予定ですが(毎日新聞記事「パレスチナ館「命」表現 駐日代表、万博へ思い」)両者とも国際イベントに出展することで独立の国家としての実績を積み上げるということなんでしょうね。このあたりは日本が初めて万博に出展した19世紀半ばと似ています。
大阪万博はパビリオン工事が相当遅れていて開幕1年を切ってもまだ着工できていない所もあります。フランスには大阪万博の件でも話をするんですかね。


先方は日本文化にも関心があるようですが風刺画で有名なビゴーさんもフランス人です。
この人は日本の文明開化、鹿鳴館外交について猿真似おじさんの風刺画を残していますが19世紀の日本も21世紀の日本もオリパラや万博という欧州発祥のハコモノイベントを有難がり外交の一環として行う一方でクオリティは低く所詮欧米の猿真似の域を出ておらず200年前と本質的には変わってないんじゃないかと思えてきます。
万博を開催したら一流国家というわけじゃないんですけどね。
ビゴーさんは日本文化だけでなく当時発生した濃尾地震三陸津波の取材も記者として行っていますがもし彼が今の日本を見たら猿真似万博より能登地震の復興が先だろ!と言う感じで何か痛烈な風刺画を残していったんじゃないかと思います。

ビゴーさんは日清戦争についても当時の国際関係を表した風刺画を残し教科書にも掲載されています。

戦前の帝国主義時代にフランス政府は日清戦争については日本を支援する一方で日ロ戦争ではロシアを支援し太平洋戦争でもフランスのインドシナ植民地で旧日本軍と戦っていますが味方としても敵としても英米よりはあんまり深くはない感じですね。


戦後は絵画や映画など文化とか核実験関係、ルイヴィトンなど高級ブランドの話、ジャパンアズナンバーワンだった時代に日本製の家電製品の輸出で貿易摩擦が起きた話、ドラゴンボールなど漫画アニメの話、ゴーン逃亡の一件の話、カダラッシュの核融合関係の話、あとはパリ五輪の話ぐらいですか。
まあ漫画アニメの話に関してはそういえば鳥山明氏の死去に際しマクロン大統領は追悼コメントを出してましたね(オリコンニュース記事「マクロン大統領、異例の日本語「鳥山明と何百万もの彼の愛好家へ」悟空vsブウの貴重イラスト添え追悼」ヤフーニュース)。
一国の大統領がここまで心遣いしてくれるとは思いませんでしたが返礼はした方がよさそうですね。

それだけフランスでは日本の漫画アニメに対する関心が高いということでもあるんでしょうがそういうことならこの分野でトップセールスをするのも悪くはないとは思います。
JETROの貿易統計を見る限りバブル期と違って日仏貿易は2022年時点だと日本の輸出が約64億ドル、日本の輸入が102億ドルで40億ドル近い貿易赤字が発生しています。
フランスからはワインや高級ブランド品、医薬品や航空機といった品目が輸出されていますが単価の高い品目ですしユーロ高は痛いですね。
そしてこれらは一朝一夕で追いつけるものでない、特に航空機とかたぶん国が5兆円出してもはるか先を行き技術力も販売網も強力なエアバスの優位を覆せるとは思えないですが関税関係を下げてもらってもユーロ高ですし政府がトップセールスでどうこうできる類の話でもなさそうです。


後は喫緊の課題と呼べるような案件はそんなになさそうですが今年のパリ五輪と来年の大阪万博よろしくということなんですかね。パリ五輪はセーヌ川での開会式が実現できるかどうかが課題でもし実現不可となったらあと3か月でどうするのか懸念はありますし未だに観客席の工事をやっているようですが仮設だったり既存の会場活用だったりでそんなに時間がかからない代物なんでしょうね(朝日新聞記事「花の都パリ、五輪モードに変身中 コンコルド広場も熱戦のステージに」ヤフーニュース)。
東京オリパラや大阪万博よりもクオリティの高い内容になるんでしょうけどより一層日本のダメっぷりが伝わりそうです。


おフランスと言えば去年のエッフェル姉さんの件を思い出しますがそういうことなら岸田上等兵直々にエッフェルポーズで総理大臣のポジションを満喫したいといった感じでウキウキモードなんでしょうね。
去年も日仏外交会談をやってますが(外務省「日仏外相会談」)ここでは「安全保障・防衛、経済・科学技術、地球規模課題への対応、文化・人的交流等の幅広い分野で進展している」といった話をしています。
経済安保関係の作業部会を立ち上げフランス軍自衛隊の協力を進めるといった話をしてますがまあフランスとも一応話はしておくのもいいんですけど極東アジア地域でもそんなに存在感があるわけでもないし兵器類もフランスは自国開発がメインで米国製の兵器類を多く使う日本とは異なりますからね。


他にも国内でやるべき課題が山積みの状態で本来ならわざわざ総理大臣自らこの時期に出向かなければならないかというとそこまでの話はないですね。
ああそういえばフランスは年金の受給開始年齢を62歳から64歳にして暴動が起きた国でしたっけ(東京新聞記事「フランスで年金改革反対デモが激化 「62歳定年」を死守したい国民…実は欧州随一の高い生産性」)。その悪だくみノウハウを直接マクロンに伝授してもらおうってか?冗談じゃありません。
あるいは東京五輪の大失敗を踏まえてパリ五輪が終わった後の分断をどうするのかの話でもするのかな?岸田上等兵からすればフランスも格差社会ですけどパリ五輪のお祭りムードが終わってオリパラ関係の汚職とかも出てきたらまた面倒なことになりかねないので比較的落ち着いている時期にパリを満喫しておこうかといった意図もあるかもしれないですね。


いやそんなことはない、OECDの議長国である日本がOECDの本部があるパリに顔を出さないわけにはいかないだろ!OECDの閣僚理事会がその日なんだし仕方ないだろ!と言いたそうですが別にわざわざGWに設定する必要はあったのか?

行くにしてもせめてGWは外しておくべきでした。

それこそ議長国として根回しして事前に閣僚理事会の日程を調整しておくべきだったのにね。

誰だ?日程調整やった奴は。

平日は国内の課題に取り組むからGWにして貰いましただと?

あのねGWはただの連休じゃなくって特別なお楽しみウィークだからゴールデンウィークなんですよ。

この時期に何をやってもお遊びだと思われるリスクはぬぐえんのよ。

この円安で国民感情を逆撫でするリスク(中日スポーツ記事「岸田文雄首相、大型連休期間中は外遊へ… 「能登半島はほったらかし」「被災地で現況を視察しろよ」非難の声」ヤフーニュース)を敢えてとることもなかったでしょうにね。
GWにおフランスで観光と悪だくみとかいい加減にしろ!と思った人もけっこういるかもしれません。

GW明けはまた戻ってきますけどいっそのこと総理大臣はやめてフランスでもブラジルでもパラグアイでもどこへでも好きな所へ行ってそのまま戻ってこなければいいのにねと思わなくもありません。

まあコロナ禍以前に金欠病にかかっていますので我が家で大人しく今年もステイホームです。