増税ばっかりやってる財務省ですがアジアの低所得国のためアジア開発基金に1600億円出資することになりました(FNN記事「鈴木財務相“低所得国支援に1600億円余” アジア開発銀行の年次総会で」ヤフーニュース)。
案の定、国内からは非難轟轟です(FLASH記事「「日本人助けるほうが先」岸田首相、外遊先で“バラまき”宣言、物価高にあえぐ国内からは批判の声」ヤフーニュース)。
もはや日本はかつてのような先進国ではありません。
円安ドル高に伴う物価上昇とそれに追い付かない企業のショボい賃上げのせいで実質賃金は2年近くマイナスです。
国際貢献は大事ですけどまずは物価上昇に苦しむ日本の一般国民を助けるのが先というものです。
それにしても1600億円とはずいぶんと高いですね。
キリがいい所で1000億円で十分じゃないか、国力に見合った負担をしろというならそれで十分、GDP世界第4位の国としては妥当なんじゃないかという気もします。
一体何でまた1600億円も出したのか。
…これ円安ドル高のせいじゃないか?
1ドル160円だったら1600億円は10億ドルです。
1ドル100円だったら1000億円で10億ドルでした。
国際的にはドル決済が主流です。
日本国としてはこの種の国際支援で10億ドルを出していて今回もほぼ慣例通りキリのいいところで10億ドル出せというお話になったんでしょうがここでも円安ドル高のマイナス面が出てきます。
国際的な支援のインパクトとしては10億ドルで同じなのに円安ドル高だと円ベースで600億円も追加出費を余儀なくされます。
これまでのような先進国としての日本、GDP世界第2位の経済大国としての規模に見合った金額の支援は円安ドル高の環境下では無理です。
ザイセイサイケンガーと言う人たちは社会保障費を削って身の丈に合った支出にしろと言いますがその理屈だったらまず国際支援の方も身の丈に合った支出額にすべきではないか。
円安ドル高だったら支援額はどんどん膨らんでいきますので国際支援のために一般国民の生活を犠牲にすることになりかねません。
一方で中国がアジア各国にカネをバラまいているので日本も対抗すべきだ、アジアで存在感を示し国連常任理事国入りを目指すべきだといった話もあります。
しかし日本は失われた30年で落ちぶれました。
もはや日本の国力衰退を考えると日本が国連の常任理事国入りを目指すのは困難です。
国連で常任理事国入りを目指し中国に対抗したいという意図が露骨だから途上国から足元を見られて中国と天秤にかけられるのです。
それに常任理事国入りした場合はさらに義務の負担が重くなってきますが今の国力でその負担に耐えられるのか?
円高ドル安で円の価値が高ければドル建ての資金援助額も膨らみますが円安ドル高では海外への資金援助だって難しいです。
やはりこの環境では常任理事国入りは取り下げた方がいいんじゃないかと思えてきます。
中国による途上国への資金援助も色々と問題になっています。
返済できないほどの資金を貸し付けいざ返済できなくなったら現地の重要港湾の使用権を差し押さえるなどして中国の経済植民地化を狙ういわゆる債務の罠という奴ですね。
これは第1次世界大戦前の帝国主義時代に英国やフランスなどの列強がやった手口そのもので日本も江戸幕府がフランスの軍事技術や経済援助で危うく重要港湾を抑えられそうになったものです。
下心がある相手から迂闊に紐付き融資を受けるのは非常に危険なのですがこの流れがいつまでも続くかどうかは不明です。
中国も不況が深刻化し海外に資金援助をしている場合ではなくなりつつありますからね。
バブル崩壊と中国の地方政府の債務問題はどうするんでしょうか?
それに台湾問題もあります。
中国は台湾を武力制圧する機会を虎視眈々と狙っていますが本当にそれをやったら国際社会は中国が保有する対外資産を凍結、没収するかもしれません。
すでに対ロシアでEUはロシアの対外資産を凍結しその資産から生じる利子や配当をウクライナ支援に回す方向で検討しています(朝日新聞記事「ロシアの凍結資産活用は合法? 「利益」でウクライナ支援、EU協議」)。
ロシアとウクライナで和平が成立してもロシアがウクライナに与えた損害賠償も議論しなければなりませんがこれもロシアのウクライナ侵攻がそもそもの原因ですしウクライナの復興には凍結中のロシアの対外資産を活用するのが妥当です。
中国が台湾に侵攻した場合も台湾は莫大な戦費と戦後の復興費用が必要になり国際社会も台湾に武器弾薬等の支援が必要になるかもしれませんがその時は中国の対外資産、世界各国に保有している債権を活用することも検討しておく必要があります。
債務の罠というか中国にとっては債権の罠ですね。
日本は国内事情を考えると海外での資金援助はペースを落とさざるを得ない。
中国も現在のような資金援助をいつまでも継続できるかどうか分からない。
もちろん途上国支援は重要です。
しかし無理のない範囲の支援額に留めておかないと中長期で継続できないのも事実です。
短期的に中国と支援額を競い合うのでなく持続可能な支援の在り方を今後は模索していく必要があると思います。