1500ページ目 岸田漫遊記 パラグアイ

フランス、ブラジルの他に岸田首相はGWにパラグアイを訪問します。

パラグアイウルグアイと同じく南米の国でスペインの旧植民地だったぐらいしか知らないです。
一体どういう国なのか?ここも勉強してみたいと思います。


パラグアイは人口683万人、面積40万平方キロメートル、首都はアスンシオン、宗教はカトリック、GDP417億ドルという国です。
なお内陸部の国で海は無く人口は東部に集中し西部は湿地帯や乾燥地帯など居住には適しておらず国土の40%の土地に国民の97%が住んでいる状態です。
産業については主に農業と発電事業で外貨を稼いでいます。
ブラジルとの国境の間にパラナ川という大河がありここにイタイプダムという世界最大級のダムがありブラジルとの共同管理で水力発電が行われています。またパラナ川にはジャレスタダムというアルゼンチンと共同管理するダムもありますが製造業は自動車関連など日系企業が進出しているもののそんなに盛んではなく水力発電パラグアイのほぼ全ての電力需要を満たしてもなお電力は余り周辺国に余剰電力は輸出されています。
農業国で大豆や牛肉等の輸出で外貨を稼いでいますが農業の性質上、天候の影響や相場の変動など不安定でそれ以外の雇用を創出する製造業やサービス業も振るわず失業率も6.9%と高止まりしています。
コロナ禍の2022年にはGDP成長率0.1%という低成長なのにインフレ率は9.8%という家計にとってはものすごく辛い環境ですね。
格差も酷く上位1割の上級国民が富の43%を握り土地の所有に関しても元々狭くて居住可能な場所が少ないのに一部の上級国民が過半数を所有している状態です。
もちろんジニ係数も0.4を超えている状態です。
格差是正のため政府も最低賃金は上げましたが物価上昇には追い付いていないようです。


主要政党はコロラド党ですがこの政党は19世紀末に設立され1946年に政権をとって以降、2008年に下野したものの2013年に政権を奪い返し現在に至っています。
一党独裁制保守政党ということで立ち位置的には日本の自民党みたいな感じですが上級国民や経済団体が支持しているのであればなかなか一般国民に富を再分配する政策が不十分になったとしても不思議ではないですね。
もっとも大統領の任期は5年で再選禁止になっています。
憲法を改正して再選可能にしようとした大統領もいましたが国民の反発で頓挫しました(日経記事「パラグアイ大統領、再選断念 憲法改正できず」。
パラグアイは20世紀にストロエスネルという軍人出身のコロラド党党首による独裁政治が30年以上行われ上述のダム建設などもあり経済成長は実現できたものの宗教弾圧や言論の自由の侵害、秘密警察による密告の奨励、汚職、先住民の虐殺、ナチスの亡命黙認等々、弊害も大きかったのでそれを警戒する声もあったのかもしれません。
ただでさえ格差社会なのに再び開発独裁の時代に戻ったって富が再分配されるとは限らないし人権弾圧だけは強化され余計に暮らしにくくなると思った人も多かったのでしょうね。こんな状況ですから隣国のブラジルとアルゼンチンの景気次第でパラグアイも大きく影響を受けます。
電力の輸出だとか出稼ぎ、内陸国であるが故の港湾の利用、等々で大国に首根っこを押さえられている状態ですし自力で活路を切り拓くのも中々難しそうです。


さて日本との関係ですがその独裁者ストロエスネルさんが重要人物だったりします。
親日家で明治維新や戦後復興についても興味を示していたようですが日系人社会にも便宜を図ったといった話もあるようです。
日本も昭和の時代から積極的に技術支援を行っており近年は韓国の援助額が大きくなっていますが日本が最大の援助国だった時代も長いです。
2021年までに有償資金協力1732億円、無償資金協力403億円、技術支援実績908億円となっています。
日本にはゴマ、飼料、金属くず等を輸出し日本からは輸送用機器や電気機器、一般機械、ゴム製品等を輸入しています。
貿易上ではそんなに重要度が高い国というわけでもなさそうですけど何だかんだで親日国のようですし行けば歓迎されるかもしれないですね。


ただ他にもやることはあるのに今このタイミングで行くか?
2国間の要人往来、日本の総理大臣は安倍元首相が2018年に日本の総理大臣として初めてパラグアイを訪問していますが(首相官邸「在パラグアイ日系人・在留邦人との懇談 安倍総理挨拶」)外交樹立記念100周年の節目ということでした。
パラグアイからは2014年に当時のカルテス大統領が実務訪問賓客として訪日しています。
安倍元首相のパラグアイ訪問は6年前、パラグアイ大統領の訪日は10年前ですけどトップ同士の会談を2回続けてパラグアイでやるんですかね。
今度はパラグアイの大統領が訪日してほしいんですが。
パラグアイとは台湾関係の話をするそうですけど(時事通信記事「新興国OECD参加後押し 岸田首相、来月上旬に仏・南米へ」)パラグアイは台湾を国家承認する国として南米唯一の存在だそうですね。
ペニャ大統領は2023年に台湾を訪問しており位置的に日本はパラグアイにとって地球の裏側の存在ですけど台湾に訪問できたんだし日本に来れないってことはないだろ。
安倍元首相の国葬でも駐日大使は来たけど本国からは大統領どころか閣僚級の要人すら来なかったしな(外務省資料「海外から代表が参列する国・地域・国際機関等」)。


パラグアイ政府から日本は舐められてるんじゃないか?
たしかに日本は凋落しましたし大国以外の国にも総理大臣自らトップセールスを行うべきだなんて話もあるかもしれないですがパラグアイは日本に何を提供できますかね。
もちろん日本とパラグアイの規模の格差だとかパラグアイの国内事情も考えるとそこまで多くの見返りは求めませんけど重要な場面での義理は大事です。
安倍元首相の国葬に関しては国内的にも賛否両論あったしエリザベス女王国葬とも重なってしまいましたけど小国とはいえ大統領が一人でも多く来てくれたら日本としては有難かったのですが。

反対の人にも外交的な成果はあったよと言えますし。
パラグアイ大統領など元首を連れてこられなかったのは現地に派遣している日本の外交官がきちんと関係を作れていなかったのではないか?
日本の大統領として初めてパラグアイを訪問した安倍元首相の国葬なのに本国から要人を出さないとはね。
日本からは相当たくさん支援を行った国もありますけどこういう場面でスルーされるあたり実は相当侮られてるんじゃないかと思わなくもありません。
不義理な人々にわざわざ日本から頭を下げに行くのもどうなんでしょうね。
外交の岸田なんて言ってますけど日本人だけでなく外国人からも岸田上等兵は馬鹿にされてるんじゃないか?
まあ円安ですし消費者としては安価な農産物が喉から手が出るほどほしいんですけど今このタイミングで総理大臣直々に訪問するような国ではないんじゃないかと思いますね。


パラグアイに限った話ではないですが小国相手に与えた以上の見返りを期待するのもどうかとは思います。
ですが大事な場面で不義理をする輩に多くを与えるのも問題です。
小国であっても国家には違いなく国連でも一票を持っていますが安倍元首相の国葬に本国から閣僚級以上の要人を出さなかった国が国連等で行われる国際的な会議で日本の味方をしてくれる可能性は高くないんじゃないか。
予算も時間も限られていますし今後小国に総理大臣を訪問させるなら本国から要人が国葬に参列してくれた国を優先した方がいいんじゃないかと思いますね。