1485ページ目 少子化支援金制度と在職老齢年金制度

子育て世帯の支援のため社会保険料に上乗せ徴収する少子化支援金制度と一定以上の高所得者の年金を減額・停止する在職老齢年金制度の廃止がニュースになっています。

FNN記事「月1000円超の負担も“子育て支援金” 徴収額高い?異論「なぜ、子育て中も」不公平「年収1000万円以上は一律」」ヤフーニュース及び毎日新聞記事「在職老齢年金、廃止含め見直し検討へ 全廃か一部緩和の方向性」ヤフーニュースは確認しました。

格差是正及び経済再生の観点から両案に反対です。

財源は大企業や富裕層から徴収すべきと考えます。

 

少子化支援金は当初月500円のワンコイン負担で年6千円と言ったのに話が違います。

年収600万円の人以上は月千円で最初の説明と倍ですし年収の中央値がだいたい400万円程度ですがこの世帯からも月650円、年額で8000円弱の負担を要求しています。

当初の説明の3割増で誤差というにはあまりに大きくさすがに月500円と言うには苦しい水準です。

しかも年収1千万円以上は一律の負担額です。

年収1千万円以上と一口に言ってもぎりぎり1千万円貰ってる大企業のサラリーマン世帯と裏金議員や役員報酬1億円の財界人など色々います。

ですがぎりぎり年収1千万円のサラリーマンと住友化学の十倉君のようにたいした仕事をしないどころか会社を大赤字にしても10年間で10億円ももらえる超絶勝ち組の少子化支援金負担額は同じ水準です。

相対的に労働者世帯ほど徴収される保険料が収入に占める割合は大きくなりますが実質賃金23か月下落で痛めつけられた家計にさらに追い打ちをかけるかのようです。

社会保険料は消費税と同じく逆進性が強く中低所得層に負担が大きいですが勝ち組優遇の少子化対策、というか少子化対策を錦の御旗に掲げた上級国民への富の逆再分配にしか見えないのですが。

 

こんなことを言うと後期高齢者はほとんど支援金財源を負担していないので後期高齢者社会保険料をもっと値上げすべきだとの話も出てきますが(朝日新聞記事「少子化対策の支援金、74歳以下が92%負担 「500円弱」中身は」)公的医療保険料自体は増加しています(東京新聞記事「高齢者保険料、4月から引き上げ 医療、75歳以上540万人対象」)。

後期高齢者といっても負け組は大勢いるのです(信濃毎日新聞記事「「物価高で生活苦しい。私たちは何を食べれば…」支えるのは今や年金暮らしの高齢者 「見えない貧困」と向き合う支援団体」ヤフーニュース)。

元々地方や中小企業では30年間ずっと賃上げはありませんでしたし老後の備えができなかった世帯も少なくありません。

60代二人暮らしの世帯のだいたい2割ぐらいは貯蓄ゼロですし貯蓄の中央値も700万円程度です(LIMO記事「【貯蓄額一覧表】60~70歳代の貯蓄ゼロは何パーセント?貯蓄が増えた理由に「配当や金利収入があったから」なども」ヤフーニュース)。

700万円程度だったら元旦の能登地震で家が被災したり癌などの大病になって医療費がかかるようになったらあっという間に飛んでいきます。

現役引退してからの物価上昇でボディーブローのように貯蓄が目減りしていきますが80歳過ぎても現役議員の麻生君とか紅麹サプリの小林製薬会長みたいなごく一握りの勝ち組以外に余裕はないんです。

負担能力に応じて社会インフラにかかる費用を負担する応能負担で考えれば年収1千万円以上が一律同じなのは不適切です。

老若男女含めて中低所得層からの少子化支援金徴収は断固反対です。

 

在職老齢年金制度も労働力確保の観点から廃止すべきとの声もありますが裏金議員や経営者まで便乗させるのは問題です。

麻生君とか小林一雅君にはさっさと引退してほしいのですがこの人たちは年金の有無に関係なく経営者や政治家は現役の地位にしがみついています。

働いたら年金減額・停止なので引退しますと言ってくれたらいいのにね。

元々年金制度は働けなくなった場合の生活手段としての性質がありますが年金をもらえなくたって高齢でも中堅若手世代の年収を超えるような人だったらよほどの浪費でもしない限り別に生活に不自由することはないでしょうね。

年金をもらえなくなることを考慮しても働いた方が儲かるような人だとか年金の有無にかかわらず現役続行をする人たちもいるものです。

労働力確保が目的なら年金の有無にかかわらず現役を続行し地位にしがみついて会社や社会の新陳代謝を阻害する経営者や政治家まで在職老齢年金制度を撤廃すべきではありません。

 

FLASH記事「「契約違反やろ」国民年金の納付「5年延長」の試算に批判殺到、支援金は年収400万円で月550円徴収」ヤフーニュースも確認しました。

既に国民年金保険料値上げも行われる中で格差を拡大させる政策ですがもちろんこれにも反対です。

高所得層は所得税率が高く応益負担、水平的公平を重視すべきとの声もありますが再分配前のジニ係数は0.57(厚労省「令和3年所得再分配調査」参照)で国の再分配無しだと暴動が起こるほど危険な格差水準です。

現行制度では所得税最高税率は45%ですが昭和の頃は70%でした。

平成令和で一億総中流社会が崩れましたがそりゃ大金持ちの所得税を25%も減らすんですから当然です。

減税でますます勝ち組は富を増やしましたが勝ち組による富の独占ぶりが再分配前のジニ係数に現れています。

この状況で少子化支援金や在職老齢年金廃止、国民年金納付5年延長、消費税増税等収入が少ないほど税負担割合が重くなる逆進性の凶悪な税と社会保険料負担を増やせばどうなるか。

再分配後でやっとぎりぎり0.4を下回るジニ係数の水準に抑え込んでいるのにその再分配機能を緩めたらより格差が拡大することになる、富裕層に優しく中低所得層に厳しい政策でジニ係数が悪化するリスクがあります。

0.4だと社会不安が増大するレベルですが具体例としては暴動まではいかずとも犯罪だとかテロだとかが増える水準です。

犯罪だったらすでに闇バイトだとか元首相の暗殺や現首相の襲撃事件とかありましたね。

ぎりぎり0.4を下回るレベルでもこの有様です。

 

心配なのは社会保険料と税負担だけではありません。

17年ぶりにゼロ金利政策が解除されましたが円高になると思いきや1ドル154円の円安です(株探記事「外為:1ドル154円51銭前後と大幅なドル高・円安で推移」)。

生活費上昇も継続し住宅ローンや奨学金を返済する世帯への影響が懸念されます。

既に奨学金の利率は高水準で(東洋経済記事「日銀の利上げで生じる「奨学金」の思わぬ誤算、貸与利率が10年ぶり高水準、増加する返済負担」ヤフーニュース)物価上昇を上回る賃上げができる大企業に就職できた者以外は婚活どころか日々の生計維持と借金返済に追われる日々です。

若い世代にとって金利のある世界で社会保険料値上げや消費税増税は死活問題となります。

 

しかし中堅世代が安泰かというと全くそんなことはありません。

氷河期世代に至っては賃上げの恩恵すらないのが現状です(東洋経済記事「33年ぶり春闘「賃上げ」の恩恵がある人、ない世代」)。

政府は賃上げで少子化支援金の実質負担はゼロになると言っていますが(東京新聞記事「首相「賃上げ阻害しない」 子育て支援金、実質負担なし強調」)政府のいう実質負担ゼロは大嘘です。

氷河期世代は賃金デフレが続いてるし税と社会保険料に加えて利上げでトリプルパンチじゃないですか!

おいこら岸田上等兵お前いい加減にしろよ。

精神論でなく数字で負担率が上がらないことを証明しただと(アベマ記事「岸田総理、子育て支援金導入めぐり「社会保険負担率上がらない」と強調」ヤフーニュース)?

都合よく数字を加工して捻じ曲げた現実を根拠にした詐欺師の説明そのまんまじゃねえか!

中堅世代、氷河期世代ばかり負担が押し付けられていますがこの世代に逆進性の強い負担をかけ、なけなしのカネを奪うのは2030年代以降に大量の貧困老人を増やし生活保護費の増加を通じかえって財政を悪化させることになる可能性があります。

住宅ローンは今のところ急激な金利上昇は見られないですが少子化支援金の徴収が始まる2026年以降に金利が急上昇すれば負債を抱える世帯に税と利上げのダブルパンチとなりますがこの流れだと大企業の若手社員と経営者以外は賃上げされないことになります。

氷河期世代の明日はそれ以外の負け組にとっての明日かもしれませんが多くの人にとって賃上げがないトリプルパンチになる可能性も否定できません。

 

失われた30年の起点となったバブル崩壊時も利上げと消費税増税が同時でした。

ザイセイサイケンガーと言って利上げと同時に税や社会保険料負担を増やし大恐慌を招いてしまっては元も子もないのです。

90年代は結局大規模な財政出動をする羽目になりましたね。

最初から増税なんてしなきゃよかったんですよ。

 

利上げは行き過ぎた円安の是正のため必要、まだ円安継続となると金利水準は未だ割安という可能性もあります。

住宅ローンや奨学金返済世帯にとっても借金の利息の増加分より食費や光熱費の上昇分の方が重くなっているならば生活費負担を軽減しないと返済が滞る懸念も生じます。

 

なお財務省財務省の御用記者や御用学者、法人税減税で役員報酬も増加する十倉君たち大企業経営者からは国債金利も利上げで上がるので増税して金利の支払いに充当すべきだなんて話も聞こえてきます。

しかし国債利払い費の上昇が心配なら元々無借金で利上げしても支払利息が増えない大企業に対する法人税減税こそやめるべきというものです。

住宅ローンとか奨学金の負担が重い人に増税したり社会保険料を値上げしたら生活が破綻するリスクがありますが元々無借金の会社だったら利上げしても基本的に関係ないです(ただし安全資産である国債金利より低い企業成長率だったりすると投資家は怒りますが)。

無借金で使ってないカネをたくさん持ってるんならお前が払えと私は強く言いたい。

既に350兆円もの現金を経済界は使いもせず貯め込んでいます。

日銀「2023年第4四半期の資金循環」部門別の金融資産・負債残高(2023年12月末、兆円)を参照すると民間非金融法人企業 は現金預金336兆円と株式や国債などの有価証券 447兆円を保有している状態です。

運転資金もあるので全部使えるわけではないですがそれを考慮してもこんなにたくさんバランスシートで本業の設備投資に回らないカネをため込む必要性があるとは思えないのですよ。

余剰現金や有価証券類は賃上げや設備投資、研究開発費に回してほしいのですがそれでも使い切れない分は法人税で徴収してカネが必要だけどカネが回ってこない部門に再投資するのが本来政府がとるべき政策です。

 

にもかかわらずそれをしないのはなぜか。

やはり企業団体献金財務省の利権、それらを屁理屈を並べて無理やり肯定する学も合わせて政財官学の利権カルテットが問題ではないかと言わざるを得ないのです。

企業団体献金禁止については旧大蔵省の鈴木馨祐議員(開成東大法卒)が自民党のプロジェクトチームで却下しています(TBS記事「企業団体献金禁止は「難しい」 政治資金規正法改正に向けた自民党作業チーム座長」)。

裏金問題だけでなく旧統一協会の問題もあったにもかかわらずです。

kyとしか言えませんがこの人、選挙の地盤はそこまで盤石というわけではないんですよね。

利権確保や増税とか自分の出世には頭が回るけど一般国民の有権者は徹底的に踏みつぶすスタンスだからたいして支持があるとも言えない立憲民主にぎりぎりの接戦まで追い込まれたのでしょう。

2009年には自民党の下野と同時に落選してますし2012年の政権再交代で復帰はしたものの2021年の衆院選では立憲民主の候補にたった4千票の差で辛勝しています。

解散総選挙やったら勝てるかこいつは。

選挙弱い場合は人気取りのバラマキ政策で中低所得層からの支持を集めるか旧来の組織票を固めて逃げ切るかのいずれかです。

開成東大旧大蔵省という周囲は基本的にテストで100点の集団ですがそういう場所では基本的に減点主義評価、特に旧大蔵省はそういうカルチャーです。

そんな生き方を長年してきた人であれば基本的に失点、取りこぼしを減らす方向に動く、かつ古巣の旧大蔵省が嫌う政策は絶対に推さないのが容易に想像できます。

とにかく献金を集めて経済界や財務省関係を中心に組織票を集めて勝とうとしているので企業団体献金を廃止するなんて論外だと考えたんでしょうね。

政治改革関連でカネに転びそうな人をプロジェクトチームリーダーにすればどういう結論になるかよくわかります。

それも見越して選挙に弱いこの人が座長に任命されたんでしょうがつまりまあ岸田上等兵や麻生君たちは政治改革を行う気が一切ないと言う事です。

政治が悪いのは国民が悪いからだなんて言いますが投票しようにも与党も野党もろくでなししかいないし立候補しようにも供託金の高額さがネックで一般国民は身動きが取れません。

この状態で国民が悪いと言われたってそれは上級国民の逆切れ責任転嫁というものです。

 

法人税減税だけでなく巨額の国産ジェットや原発半導体で税金投入もゴリ押ししてますが冗談じゃありません。

使い切れぬほどカネを持て余す大企業は減税でカネがないから借金して生計を維持する一般国民は増税では格差も拡大するし消費も減ってGDP4位転落も当然です。

大企業に法人税減税を続けても使わない現金が増えるばかりで経済が回りません。

金利のある世界では少子化対策も年金財源もカネがないから借金して生活をする中低所得層に逆進性の凶悪な負担を増やしてはならないのです。

死に金を貯め込む大企業や富裕層に応能負担、垂直的公平の観点で税や社会保険料を徴収し富の再分配と消費の活性化で豊かな日本経済を取り戻すべきと考えます。

 

 

4月19日追記

日経社説「単身高齢者を支える社会の基盤づくりを」では氷河期世代とか低収入低年金の人もいるので長く働ける施策が必要と言っています。

だから在職老齢年金制度を撤廃して老後の収入を増やすべきなんて話だったら無理筋ですからね。

そもそも現役時ですら低収入だった人が在職老齢年金の制限対象になる可能性は限りなく低いです。

年金と合わせたって月50万円なんて経営者とか政治家でもない限り一般人には届きませんよ。

ああ社説を書けるような日経のエリート記者は金持ちのお友達がいっぱいいるしご機嫌取りして本人も大学の講師とか社外役員の椅子に座りたいってことですかね。

そんな人の言い分だったらなおさら聞けませんよ。

年金広報2021年5月号記事「在職受給者の老齢年金の見直しで何が変わるか」も確認しました。

すでに在職老齢年金制度は大幅に緩和されて対象者もせいぜい20万人未満になっていますがこのごく少数の勝ち組のために年金不足で生活できない高齢者だとか現役なのに賃上げ以上の保険料値上がりで手取りが増えない人たちの生活を犠牲にするわけにはいきません。

在職老齢年金制度廃止で勝ち組高齢者のため1000億円以上の財政悪化が見込まれるので保険料を値上げしますとかとても生活していけないですね。

マクロ経済スライドで元々生活が苦しい高齢者まで負担を要求するより勝ち組高齢者から応能負担にしてもらわないと困るのですが。

そもそも勝ち組高齢者がずっと高給取りでいられるような職場ってつまり新陳代謝が進んでいない可能性がありますがむしろそっちの方が問題です。

低年収低年金の人も大勢いるし今後も増えていくのでやはり在職老齢年金制度廃止には反対ですね。