1355ページ目 GDP下方修正と実質賃金下落19か月目

7月から9月のGDPは年率2.9%減になりました(ブルームバーグ記事「GDP改定は下方修正、個人消費など下振れ-景気回復の弱さ示す」ヤフーニュース)。

速報値からさらに下方修正となります。

マイナス成長に転じましたが主な原因は円安に伴う物価高による消費の減少及び海外景気の先行き不透明感を受けた設備投資抑制です。

過去最高に今年の夏は暑かったのも消費の減少に影響しているかもしれませんね。

実質賃金に関しても19カ月連続の減少になりました(テレ朝ニュース記事「【速報】10月の実質賃金 前年同月比2.3%減で19カ月連続マイナス…物価上昇の影響続く 厚労省」ヤフーニュース)。

物価上昇に賃上げが追い付いていません。

大企業でさえせいぜい3%台の賃上げ、かつ、下請けの価格転嫁も進んでおらず中小零細企業は賃上げで大手より低水準に留まる一方で物価は4%超も値上がりするようではとても対応できません。

物価上昇の影響は入院患者の食費にも及んでいて入院患者の食費負担額も来年度から上げる方向になっています(時事通信記事「入院患者の食費負担30円値上げ 価格高騰で24年度から 厚労省」ヤフーニュース)。

マクロ経済スライドで年金実質減額ですからダブルパンチです。

生活保護の申請も9カ月連続で増加していますが(共同通信記事「9月の生活保護申請、1.3%増」ヤフーニュース)賃上げの恩恵が及ばない人ほど苦しくなっている状況が伝わってきます。

 

そんな中で子供支援金の徴収は2026年から開始すると言っています(朝日新聞記事「少子化対策の財源「支援金」の徴収開始 26年度軸に最終調整 政府」)。

3年後に物価上昇を上回る賃上げが実現しているかどうか不明だし円相場もどうなっているか不明ですが個人負担だけさっさと決めてしまうあたり自民党は一般国民を殲滅する気満々です。

一方で大企業の法人税中心の防衛費増税は今年も決定見送りとなっています(共同通信記事「防衛増税の開始時期、来年決定も 自民・税調会長、先送りに言及」ヤフーニュース)。

内部留保500兆円現金300兆円もあるのに賃上げも投資も下請けの報酬支払も買い叩き自分たちだけカネをため込む人たちだけ丸儲けです。

使わない無駄金を大量に貯め込んだ大企業を尻目に経営不振に陥った企業も中小零細を中心に税金や社会保険料滞納で倒産が急増中です(帝国データバンク記事「「社保」「税金」滞納で倒産、急増  「公租公課滞納」倒産、23年は111件発生 過去最多に」ヤフーニュース)。

防衛費と少子化対策財源のカネをどうするかが問題になっていますがカネ持ち大企業には増税見送りと減税な一方で一般個人や資本金と資本剰余金合計1億円未満の本当の意味での中小零細企業からは容赦なく奪う姿勢があまりにも露骨です。

子供支援金名目の保険料徴収が始まるあたりでまた生活保護だとか中小零細企業の倒産が増えるかもしれませんがそんな中でも大企業はこれまでため込んだカネをさらに溜め込み内部留保も600兆円、余剰現金も400兆円とかになっていてしかも法人税減税という状況も想定されますが格差もより一層拡大するでしょうね。

しかし2025年に選挙が終わったんで知ったことではない、衆院解散がなければ次は2029年、参院選は2028年ということでまた悪夢の3年間となります。

 

2025年だけやり過ごせば後は愚かな一般国民など踏みつぶしてしまえという政財官の悪辣な考えが伝わってくるような政治ですがその一方でキックバック問題だとか政治とカネの問題がいくらでも出てきます。

というかもし本当の本当に台湾有事が起きてしまったときにまだ防衛費増税を渋っていた場合とかどうするんでしょうね。

戦争が始まるタイミングはよほどインテリジェンスがない限りなかなか察知できない、ロシアのウクライナ侵攻だって日本がどれだけ正確にタイミングを把握できていたか不明ですが台湾有事とか把握が発生直後とかだったら対応できるかどうか。

2025年以降に台湾有事発生の可能性があるとのことですけどいざ戦争になった時に大企業はまるまるカネを温存し一般国民は子供支援金の保険料収奪と介護医療費自己負担額増に加えて物価上昇に追い付かない賃金水準だったらさすがに解散を要求する世論が高まるかもしれません。

 

まあ解散要求されてもそのまま居座るので関係ないと言いそうですが6年前の東洋経済記事「「日本では暴動が起きない」の伝説が崩れる日 元日銀審議委員が語る日本経済の近未来」で日本が貧困大国である点や円安による物価高騰リスクと貧困高齢世帯や氷河期負け組(ただし氷河期負け組は好きで低年収を選んだわけでない)の貧困リスクが指摘されています。

当時は半信半疑の人もけっこうたくさんいたのではないかと思いますが残念なことに現実になってしまいました。

貧困大国である件はコロナ禍で顕在化しましたし円安による物価高騰は昨年と今年で強く実感したところです。

そして氷河期世代の貧困も京アニ青葉やアベンジャー山上を生み出しており思い詰めてテロを起こす人が増えるリスクも絵空事とは言えない状況です。

 

あとは暴動です。

さすがに暴動はまだ起きていないですがジニ係数の悪化も見る限り本当に危ないです。

国民負担率の話も賃上げを加味して国民負担率は上がらないという詭弁を政府は言っていますがつまり賃上げが鈍い中小零細企業や買い叩かれる自営業者、マクロ経済スライドで年金実質減額の高齢者の負担率は跳ね上がることになります。

そのあたりも考慮すると国民負担率は五公五民を越えて六公四民に届くかもしれない、ジニ係数も調整した後でも0.4を超えて0.5に近づく可能性も考えられます。

そうなってくると海外の事例からも暴動発生の可能性が顕在化してくる、日本人の本性も高度経済成長期以前は頻繁にキレて暴動を起こしていたものですが何しろ半世紀以上も多くの一般国民がキレて社会運動が起きていた状況はなかったわけですからいざ暴動が起きた場合に収拾できるかどうか。

対応を誤った場合は余計に暴動が悪化する、全国レベルで波及して大混乱になる可能性もないとは言い切れません。

暴動が発生した場合の対応と収拾、穏便な方法での再発防止ノウハウがないのであればとにかく一般国民を豊かにし格差解消を図らなければなりません。

間違っても負担分配をめぐり世代間対立や子育て出産を巡る同世代間対立を煽ってはいけません。

これもさらなる大混乱の要因になります。

 

分断統治しておけば政府だとか上級国民に被害は及ばず安泰だと思ったら大間違いです。

涼しい顔をしてカネをため込む奴がもっとも狙われるポジションなのも歴史が示す通りです。

イギリスのような植民地の分断統治だってけっこう難易度は高い、狡猾なだけでなく細心の注意とインテリジェンスがあったからできたわけで実際に運用できるかというとできる人はかなり限られてきますが300兆円の現金もまともに使えず海外勢に負けっぱなしの大企業だとか万博やオリパラの運営もまともにできない政府にインテリジェンスなんて無理に決まってんだろと思うのです。

 

まあそんなわけで暴動が起きてしまった場合の対応を考えるより暴動が起きるような社会風土こそどうにかすることが先決です。

格差解消、大企業に対する増税で富の再分配を行い一般国民の負担軽減を図ることこそ王道です。

少子化財源名目で保険料を値上げして収入も資産も不十分な負け組一般国民の負担を増やすより賃上げや投資に回しきれないほど現金を抱える大企業に対する防衛費増税を優先すべきと考えます。