マイナス金利政策からはそろそろ卒業したい!と考える人が多くなりとうとう日銀はマイナス金利政策の解除を決定しました(TBS記事「【速報】日銀17年ぶりの利上げ マイナス金利を解除 YCC・ETF買い入れも終了 日銀「マイナス金利など役割果たした」円安1ドル=150円台に」ヤフーニュース)。
マイナス金利だけでなく長期金利の操作やETFの買い入れも終了します。
このところ大企業を中心に賃上げが相次ぎ株価もバブル後最高値を更新しました。
もう金利を下げまくってというかマイナス金利にして政策的に借金しやすくして投資を促進する必要はなく民間が自助努力でやっていける、株価についても買い支えなくても上がるようになってきたのでそろそろ官製景気対策としての金融緩和はそろそろ卒業しようということですね。
実に17年間も大規模金融緩和が継続してきたわけですが2007年からリーマンショック、東日本大震災、コロナ禍といったどうにもならない環境が継続し結果として大規模金融緩和をやめるタイミングを逸してしまった面もあります。
さらに2010年代には2度の消費税増税もありこれが大きく景気を冷やしたことから金融緩和見直しで増税とダブルパンチになり経済へのダメージが大きすぎるといった状況もありました。
ただ世界は金利のある世界でそれでもちゃんと経済成長し失われた30年で日本と世界とで大差がつきました。
物価が高騰し実質賃金の下落が2年近く継続していますが賃上げが物価上昇に追い付いていません。
それもそのはずで大規模金融緩和の弊害により円の価値も下がり輸入物価が値上がりしたためです。
2%程度の賃上げで世界的なインフレに追いつくはずがなく大規模金融緩和で円の価値を切り下げている場合ではなくなりました。
世界のインフレに負けずに実質賃金を上昇させるためには高水準の賃上げと大規模金融緩和の見直しにより円の購買力を高める必要があります。
実際にどの程度生活が楽になるかは不明ですがエンゲル係数も高水準で推移しています。
賃上げと物価対策で食卓の豊かさを取り戻せるといいですね。
とはいえ気がかりになってくるのが住宅ローン金利です。
利上げはするといっても様子見で少しだけです。
いきなり2%引き上げるとかはさすがにないですね。
バブル崩壊後はバブル期に借りた住宅ローンで家計は大変なことになりました。
値上がりが前提で新築一戸建てを担保にした借金がリストラや減給で返済が難しくなったうえに不動産価格も下落し不動産を売却して返済しようにも差し引きで借金が残ってしまい差額分をいわゆる追い金で支払わざるを得なくなる人もいたものです。
都内はともかく地方だと不動産価格は下落しておりぎりぎり返済できる水準でかなり無理をしてローンを組んでいた人の中には金利上昇で住宅を手放さざるを得ないけど不動産が思ったほど高く売れず追い金発生という人もどこかで出てくるかもしれませんね。
利上げ観測が出ているのに無理して借金するからそうなるんだといった声もありそうですがリスクは地方だけではありません。
今のところ都区内では不動産の値上がりが継続していますがチャイナマネーの流入分もかなりあります。
中国ではバブル崩壊で大変なことになっていますがバブル崩壊からの大不況で日本がたどった失われた30年が再現される可能性も否定できません。
かつての日本はバブル崩壊前に買い漁っていた世界各地の不動産の多くを手放した、買い叩かれましたが一斉に中国勢が資金を引き上げざるを得なくなった場合も同じ事が起きる、都区内の優良物件が放出されそれ以外の物件が値崩れするといったリスクも考えられます。
パワーカップルがタワマンを1億円ぐらいのローンを組んで購入するケースもありますがパワーカップルといえども利上げによる支払利息の増加と中国勢撤退による不動産価格の下落による担保価値の目減りに耐えきれるかどうか。
まあ賃上げが追い付けばよいのですが一人雇うだけでも1000万円以上するような高級ホワイトカラーほど企業としては生成AIで仕事を代替させてコストカットしたいと思うわけで賃上げ以前に失業リスクも考慮しなければなりません。
生成AIの方はいつ高級ホワイトカラーと本格的に競合するようになるか何とも言い切れませんが17年前に利上げした局面でサブプライムローン問題は炸裂し翌年にリーマンショックが起きました。
利上げした直後に世界経済に暗雲が垂れ込めてきてまた不景気が来たということになるのも心配といえば心配です。
だからこそ急激な金利の引き上げは行わず当面は緩和的な環境で様子を見るようですが一寸先は闇ですからね。
せっかく卒業できたけど出戻りにならずこのまま順調に景気が回復し失われた30年から脱却できることを祈りたいですね。