1435ページ目 猪瀬直樹の言いがかり

久しぶりに猪瀬元東京都知事のニュースを見ました。

そういえばこの人は維新の会に行っていましたっけ。

すっかり忘れていましたが何を言い出したかと思えば大阪万博延期論について文句を言っています。

万博より復興、大阪万博より能登地震に予算の労働力を振り向けるべきであり大阪万博は延期または中止すべきといった世論に対し猪瀬元東京都知事大阪万博のせいで能登の復興が遅れるというのは「言いがかり」だと主張しています(デイリー記事「猪瀬直樹氏、大阪万博能登地震の復興遅らせるとの言説を「言いがかりに過ぎない」と否定」ヤフーニュース)。

 

本人曰く「日本全国の建築工事発注は年間70兆円である。能登の復興は2.6兆円と見積もられている。万博の会場建設費は2350億円、民間パビリオン等の建設は1024億円、合計3500億円に過ぎず、能登復興を遅らせているという理由にはまったくならない」とのことです。

全体が70兆円ですから大阪万博で3500億円かかっても0.5%に過ぎないから全体に影響はないという意味でしょうか。

一見するとまともなことを言っているように感じる人もいるかもしれませんね。

ただこの70兆円の中には東京や北海道、九州といった大坂から遠い地域の建築工事発注費が含まれています。

これらの地域で建築工事が増えたとしても地理的に競合はしないんじゃないかと。

東京を外したら0.5%どころじゃないでしょうね。

 

いやそれでも何十パーセントとかにはならないから金額的にはたいしたことないし復興の妨げにはならないと言いたそうですね猪瀬元都知事は。

問題は予算だけじゃないというか予算は大阪府や大阪経済界で借金してどうにか工面するにしたって労働力不足に関してはどうにもなりません。

職人さんの奪い合いが発生している状況はどうするんでしょうか。

北陸地域は過疎化が進んでいて北陸在住の職人さんだけでは明らかに不足です。

なので隣接地域から職人さんを呼んでこないと復興が進まないのですが隣接地域である関西は大阪万博や大阪IR関連の工事があり逆に隣接地域から職人さんを囲い込んでいる状況です。

それでも人手不足が解消できず大阪万博の空調工事で当初想定していた冷水を使った会場全体の集中管理に必要な専用設備業者を手配できませんでした(共同通信記事「万博海外館、空調の例外容認 「省エネ」理念に矛盾」ヤフーニュース)。

大阪万博省エネルギーを理念に掲げていますが人手不足で理念を曲げざるを得なくなり結局各パビリオンの責任で個別に空調管理することを認めることになりました。

工事と一口に言っても土木、建築、空調工事、電気工事、水道工事等々多岐にわたりますが職人さんがたくさんいるはずの大阪でさえ人材不足で大丈夫なのか?

すでに被災地では仮設住宅の建設も始まっていますが空調工事だって必要なわけで大阪万博に労働力を取られてしまっては復興に必要な人手を確保できないし工事費の高騰で被災した家庭にダメージが大きくなります。

大阪府や大阪経済界は借金でカネを工面できたとしても自宅も職場も失ってしまった人に追加で借金するのは厳しいものがあります。

万博がなくたってコロナ禍収束で工事ラッシュが発生しているところに万博のゴリ押しですから人手不足がより加速するのも当然です。

 

しかも残念なことにゴリ押しで建設を強行中の大屋根がパビリオン建設の邪魔になりつつあります(ゲンダイ記事「大阪万博パビリオン建設に「リング」が邪魔…建設トップから今さら“ダメ出し”のア然」ヤフーニュース)。

リングの内側にパビリオンを建てるのに先にリングを作ってしまったらパビリオン建設に必要な資機材を搬入するのが困難になります。

パビリオンの建設がまだ終わっていないのにリングだけ先に建設を強行したのは無駄遣いに対する世論の逆風が強くなってきたのでとにかく作ってしまって既成事実化してしまえという思惑があったんでしょうが自分で自分の首を絞めましたね。

このリングって縛り首用の首輪だったんじゃないかと思えてきます。

画僧を見る限りリングの工事はかなり進んでいるようですが工事が進めば進むほど内側のパビリオン建設が難しくなります。

資機材の搬入ルートが限定されていくことになりますが建設ラッシュで搬入ルートの通過待ち問題も発生しそうです。

通過順とか調整はかなり面倒臭そうですけど仲の悪い国同士とか揉めるかもしれませんね。

資機材が届かなければ必然的に手待ち時間が発生しますがもちろん手待ち時間も人件費は発生するわけで工事は進まないのに工事費だけは増えていくことになります。

無駄の削減というんだったらやはりリングは作るべきではなかった、少なくともパビリオンの建設が終わってからにすべきでしたがリングの建設を強行したせいで発生する手待ち時間分の人件費は一体誰が負担するんでしょうね。

リングの建設を先に行えばどうなるか素人でも分かり切っていることでしょうに本当に無駄を削減する気があるんだったらリングそのものだけでなくリング建設で発生する無駄も踏まえてリングの建設は見送る意思決定をしなければならないと思うんですけどね。

それでも強行するわけですから無駄の削減なんてこれっぽっちも考えていないのが明々白々です。

もちろんリング建設をごり押しした正義君とか十倉君が住友財閥のポケットマネーできっちり支払えよな。

被災地では人手が足りない一方で大阪では資機材が届かないので手待ちの職人さんが大勢出てくる状況というのはあまりにも理不尽としか言いようがありません。

 

猪瀬元都知事は「何もしなければ批判されない。しかし何か企画すれば批判され脚を引っ張られる。これが失われた30年に日本を支配した空気である」と言っていますが別にまともな企画まで批判する気はありませんよ。

ただ東京オリパラにせよ大阪万博にせよあまりにも上級国民の利権誘導だとかゴリ押しでやりたい放題が目に余るんですよ。

実際猪瀬元都知事だって「親切な人」から「貰った」5000万円のカバンの一件がありました。

上級国民がハコモノイベントで私利私欲を貪る、まさに失われた30年に日本を支配した空気なんじゃないかと思いますね。

 

「始まる前に文句ばかり垂れていてもそういう連中こそケロッと忘れ、どうせ始まればみな野次馬と化す」「大阪万博は2800万人が予想されている。インバウンドの時代なのでたぶんそれを上回るに違いない」に関しては展示内容にもよりますので現時点では何とも言いようがありません。

1970年当時に初めて日本に来た月の石や愛知万博の冷凍マンモス並に目玉となる展示があれば千客万来になるかもしれないですが何せチケットも高く会期中の1日券は大人一人あたり7500円します。

前売り券だとか開幕直後だけ使える開幕券はもっと安いですが目玉になりそうな展示物がない状態で前売り券を買うのも気が引けるしパビリオン建設が終わっていない可能性も考慮すると開幕券を買うのはカネの無駄という気もします。

野次馬がどっと押し寄せるほどの目玉展示があればいいんですが仮に大勢の来場者数を確保できたとしても問題は後始末です。

一連の迷走ぶりを見る限り万博をグリップできている人がおらず現場レベルで中抜きがあったとしても見つけられない、内部統制とか無茶苦茶な状態になっているんじゃないかという気もします。

そして終わった後にオリパラの一件同様不正が大量発覚して逮捕者まで出してしまう展開もあったりしたらもう悪夢です。

そういうのはオリパラで懲り懲りなのに大阪万博でも二の舞とか冗談じゃありません。

ハコモノイベントをやる度にこの種の不正が毎回毎回出てくるのに懲りずにまた利権誘導でハコモノイベントをごり押しするのが失われた30年に日本の上級国民層を支配する空気なんですけど失われた30年から脱却するためにはこの種の利権政治、政財官の上級国民の不正に断固たる対応を示す、ハコモノイベントについてはまともに管理できないんだったらもう誘致しないのも一案かなと思いますね。