1416ページ目 逆効果だし取る所も間違ってる少子化対策

昨年から月500円、年6千円の社会保険料を上乗せして少子化対策に充てる話がありましたが国会も同様の話が言及されました(日テレニュース記事「“異次元の少子化対策”の財源 岸田首相「拠出額は国民1人あたり500円弱」ヤフーニュース)。

 

この案は前々から富の逆再分配になり少子化がより加速する案という話もあちこちでありましたがこの案は基本的に独身税というべき性質のものです。

全国民から社会保険料を上乗せ徴収して子育て世帯に給付を行う仕組みですが子育て世帯以外は受け取れない、独身者は親になるまで一生受け取れない仕組みになります。

日経平均採用銘柄で粉飾など不正を行い売買停止になり空売りもできなくなった場合は日経平均株価指数を空売りして不祥事を起こして売買停止になった銘柄以外の日経平均採用銘柄全部を購入することで売買停止になった銘柄の合成売りができますがそんな感じですね。

直接的に独身税が課されるわけではないんですが結果的に独身税になります。

 

よく未婚率を下げるには独身税を課せばいいじゃないといった暴論が見受けられますがすでに独身税をやって失敗した事例はあります。

ブルガリアです(日刊スポーツ記事「成田悠輔氏、海外の少子化対策独身税」が”地獄に終わった”ワケ解説し反響「結婚増やそうと」」ヤフーニュース)。

結婚前の若い世代が婚活資金を貯めることができずかえって少子化が進んだそうです。

プレジデント記事「「年収300万円の男性の63%が子どもを持たずに生涯を終える」交際への興味、性経験がない人の衝撃データ」もありますが年6千円の実質増税でより一層中低所得層の結婚出産が難しくなるのが目に見えています。

実際、増えた未婚者の大半は低収入、非正規・無職の男性ですが現実問題として実質賃金の下落が2年間も継続している中で低収入で家族を養うどころの話ではありません。

 

特に昨年は2.5%の減少で失われた30年の中では最悪の下落率です(日経記事「実質賃金、2年連続減少 昨年2.5%減90年以降で最低)。

このスタグフレーションは消費支出にも悪影響を与え昨年は3年ぶりにマイナスになりました(日経記事「消費支出、2.6%減少 昨年、3年ぶりマイナス」)。

食費の減少が継続していますが教育費も減少しており聖域なき節約が行われています。

冠婚葬祭への支出もコロナ禍以前に戻っていません。

消費の落ち込みは消費税増税前の駆け込み需要の反動と不景気による消費の減少があった2014年、同じく消費税増税前の駆け込み需要の反動及びコロナ禍による緊急事態宣言があった2020年もありましたがコロナ禍ほどではないにせよ2014年並みの落ち込みぶりが心配です。

せっかく回復しかけていた消費が消費税増税で一気に冷え込み消費の前年比増減率は2019年までずっとプラスになりませんでしたがそのプラスだって消費税増税前の駆け込み需要です。

賃上げ不十分なのに税金ばっかり上がるんですから当然です。

 

日々の生活も危うい状況で婚活?頭おかしいの?というお話です。

どれだけ現金を子育て世帯にバラまいても効果がないことはお隣の韓国の事例でも明らかです(ニッセイ基礎研究所記事「韓国政府が手厚い子育て支援策を決めたが、出生率向上は今度も難しいか」)。

そもそも結婚前の独身者の支援こそ必要なのに育児支援に偏っている時点で少子化促進策になってしまっているので出生率が上がるはずがないのです。

 

子育て世帯にだけ現金を配ったところで3人目を産むのでなく1人目2人目の教育費に充当されるか生活費に充当されるだけなのですが(プレジデント記事「富裕層世帯の妻が「多産」を嫌がる理由」)より問題なのはその配る現金の原資がスタグフレーションで苦しむ一般国民のなけなしのカネだということです。

本来であれば儲かってるくせに賃上げもせず取引先の価格転嫁も認めず下請けいじめを行う大企業からカネを徴収すべきなのです。

法人税もずいぶんと下げましたがそれは元々賃上げや投資に回すという安倍元首相との約束で下げたものでした。

にもかかわらず賃上げはずっと物価上昇を下回る水準に留まっています。

トヨタ自動車の2024年3月期における純利益の見通しは4兆5千億円になりましたがこれは日本企業としては初の4兆円台です(日経記事「トヨタ純利益 初の4兆円 今期」)。

ですがトヨタグループでは日野、ダイハツ豊田自動織機と不正が相次ぎ問題になっています。

トヨタのコストカット要求や品質改善要求が厳しすぎるのではないかといった話もありますが品質に関しては命に関わることですし当然改善を継続しなければなりません。

ただ正当な対価はきちんと支払う必要があります。

相次ぐグループ内の不正を見る限りトヨタ自動車本体が上げた4兆5千億円の純利益は円安による物価上昇で傷んだ各家庭の財布及び下請けいじめや賃金抑制が原資としか思えないのですよ。

自動車産業はすそ野の広い産業ですが最大手のトヨタグループがこの有様では中小企業も含めた賃上げが物価上昇に勝てないのも無理からぬ話です。

ケチっぷりで言えば大阪の大企業もですが賃金の伸び率で大阪は福岡や広島より低く全国平均を下回った状態です(日経記事「賃上げ 地方に求める」)。

全国平均で1.4%増ですが大阪は1.2%となっています。

万博より賃上げしようよ…と思ったものですが大阪万博の運営費が当初の1.4倍になることが明らかになりました(ラジトピ記事「大阪・関西万博 運営費1.4倍増、1160億円に 「赤字出ないよう」チェック会議で厳格に」ヤフーニュース)。

大阪経済界さんは下請け叩きや賃金抑制はするのに万博は景気よく予算を増やすんですね。

お友達の利権で中抜きとか冗談じゃありません。

 

不景気な一般国民から少子化対策の財源を奪うのでなくトヨタのような儲かってる企業だとか万博などハコモノイベントを引っ張ってきて利権を漁る人たちからカネを徴収して格差解消を図るのが本来あるべき政治だと思います。

…が、政治資金関連で企業献金を禁止しないあたり政財官の上級国民が結託して一般国民から奪い取る構図を改める気は全くなさそうですね。

ブルガリア独身税は20年経って失敗だったと結論づけられたようですが今の日本の少子化対策も強行すれば二の舞になるのが明らかです。

そして誰の目に見ても失敗だったと明確になった時に誰が責任をとるんでしょうね。

取り返しのつかない大失敗の責任なんて誰もとれないと思いますが誰かが生贄にならないと収拾がつかない局面になってしまったらもはやどうにもなりません。

そんな事になる前に上級国民の皆さんは足るを知った方がよいと思うのですがね。