1403ページ目 連座制見送り

自民党の裏金問題の中間とりまとめが正式決定されました(TBS記事「【速報】“カネと人事の派閥から脱却”を 自民・政治刷新本部の中間取りまとめを正式決定」ヤフーニュース)。

派閥主導のカネと人事については脱却すると言っていますが派閥自体は麻生派と茂木派が残るし何よりも大問題になっている裏金問題を起こした議員の処分が事実上無きに等しい内容になっています。

「会計責任者が逮捕、起訴された場合、議員についても内容に応じて処分できる党則改正をおこなうとの表現にとどまりました」ということで連座制は見送りです。

この案だと仮に今回問題を起こした裏金議員に関しての処分は党執行部次第となり秘書だけトカゲのしっぽ切りで裏金議員が逃げ切りというだけでなく自民党自体が政策決定に影響がない陣笠代議士だけ切って清和会五人衆のような大物は逃げ切りという二重の意味でトカゲのしっぽ切りになってしまいます。

それどころか処分するか否かの意思決定を巡って忖度が横行し余計に党執行部に権力が集中する可能性も否定できません。

処分されたくなければ今後は執行部に逆らうなとかね。

あるいは岸田首相に近い議員はお咎めなしで無罪放免あるいは激甘処分です。

岸田首相の独裁ですね。

今回の裏金問題を奇貨として自分の権力を強化しようとしているわけですが道理でニヤニヤ笑顔になるわけです。

宏池会を解散したって痛くもかゆくもありません。

むしろ得失的には宏池会を解散する方がお得です。

 

結局のところ論点のすり替えで岸田首相の権力闘争に利用されただけの政治刷新本部ですが元々あった裏金問題の再発防止という観点で考えればやはり連座制は必須です。

トカゲのしっぽ切りで秘書だけ起訴してそれで終わりというのが昭和から令和までずっと続いているわけですがこの種の昭和のやり方を根本から変えないと政治の刷新なんて無理な話です。

 

なお連座制導入に関して議員を失脚させるために秘書がわざと問題を起こして議員の責任にするといったリスクがあるので連座制に反対するといった意見ですがこれも色々とツッコミどころ満載です。

そもそも秘書を採用するのは事務所の主である議員本人です。

そんなヤバい秘書を採用してしまうような人が果たして政治家として勤まるのかどうか。

そういうことをされる場合ってよほど恨みを買っているとしか思えない、例えば鮎子みたいなブラック事務所だったらふざけるなこの野郎と思って死なば諸共でブラック議員を失脚させるといった話も脳裏をよぎりました。

仮にそうだったとしても秘書に対する教育を怠ったり恨みを買うようなブラックな待遇で働かせる議員の責任も重いです。

議員本人に恨みをぶつけるにしたって政治とカネの問題をわざわざ起こすような秘書を放置しておくこと自体が管理不行き届きで議員辞職して貰うべき案件です。

というか現実問題としてそんなことをすれば秘書自身がまず第一に責任を問われるわけですが恨み以外で何かそんなことをするインセンティブって何ですかね。

かなり特殊なケースですしトカゲのしっぽ切りで議員が秘書に責任を押し付けるケースの方が圧倒的に多いと思いますよ。

さらに言うなら秘書が勝手に政治とカネの問題を起こして議員を失脚させようとするリスクがあるといった意見自体が秘書をまたしても悪者にしているわけでこういう発想をする人こそトカゲのしっぽ切りで政治とカネの問題に限らずクルマの運転とかでもスピード違反を秘書に押し付けるとかするんじゃないかと思うんですよね。

多くの議員が問題になっている裏金問題が深刻だから連座制導入の話が出てきたのにここでも秘書をダシに逃げ切ろうとするとか全くトカゲのしっぽ切りが大好きな人たちですね。

悪事は全部他人のせいとか冷血漢の所業ですが自民党の政治家=レプタリアン説を言い出す人もまた出てくるかもしれないですね。

議員の正体は宇宙トカゲだからしっぽ切りは十八番というお話です。

 

まあそういうしょうもない話はともかくとしてこの人たちが倫理的に正しく振る舞うには何をしたらいいんでしょうね。

今日の日経朝刊記事「企業の不祥事と倫理⑥」では心の中の倫理観を引き出すのが大事だと言っています。

企業倫理の制度化はそんなに効果がなく制度を強化すればするほど倫理的に行動する内発的動機が薄れる可能性がある、人は正しいと信じるからこそ法に従うのであり各人が正しいと信じる倫理観に刺さるような制度が重要である、それには価値観の共有が有効だ的な内容なのですが自民党、特に今回の清和会の事例で考えてみましょうか。

たしかに汚職が発生するたびに制度は改正されてきましたが全くと言っていいほど効果が上がらなかったから今回のような問題が起きてしまったとも言えます。

裏金は必要悪だと考えている人にしたら制度に従うこともないでしょうね。

連座制導入の話もトカゲのしっぽ切りが必要だという価値観の持ち主が集まっているから頓挫するわけですね。

そういうことならその種の価値観から改めて貰わなければならないんですけどこの人たち上級国民にそんな謙虚さがあるわけないでしょ。

政治とカネの問題は必要悪、あるいは上級国民は何をやっても許されるという価値観だった場合はもう政治家引退して貰うしかない、オストラシズムで対応するしかないんですけど国政選挙の時期になるまで待たないと引退勧告を出せないというのは有権者にとって甚だ不利益です。

心の中の倫理観を引き出すも何も子供の頃から上級国民として育ち権力を握ってますます横暴になり一般国民の倫理観と極端に乖離してしまっても小選挙区制度と自公の組織票によるゴリ押しで無理やり当選してしまうのであれば結局やりたい放題です。

裏金問題も4000万円未満だったら事実上引き続き許されてしまうというのも納得いかないものがあります。

結局のところ三田だとか開成だとかで上級国民の子弟が受けている教育が悪い、清和会の場合は清和会の教育だとか価値観が悪いといった話になりますが清和会の理念である政清人和自体は正しいです。

清和会には100人もの所属議員が集まったものですが構成員が清和会の理念である政清人和を心から正しいと信じているなら法に従うはずだし連座制導入も当然に実現させるはずなのです。

しかし現実には真逆の行いで問題になっているわけで派閥の理念、価値観は共有されていなかったということになります。

党風刷新懇話会時代には構成員の間で価値観が共有され非主流派の立場が長かった清和会ですけど会社も派閥も組織が大きくなると価値観の共有も難しくなってきます。

国だって移民を受け入れればキリスト教だったりイスラム教だったり価値観が異なる人が入ってくるわけで歴史上の大帝国でも宗教のような価値観に関わらず一律に平等な法律を中心に統治を行っていかざるを得なくなっています。

組織が大きくなればそれだけ多種多様な人が集まってくるわけで中には一応選挙だとか生活や出世の都合で所属してるけど内心ではこの価値観は気に入らないという人も山ほどいるものです。

まあ一つの価値観に凝り固まるのも問題で視野が狭くなりすぎてカルト宗教化するリスクもありますし価値共有型の組織ガバナンスというのも諸刃の剣なのかなと思います。

共産党とか公明党とか共産党イデオロギーだとか創価学会の経典の影響もかなり大きな集団ですけど中小規模の政党だったらそれでもやっていけるんでしょうけど国会議員だけでも100人超の集団になってくると難しいものがありますね。

主流派だとか執行部と異なる考え方の人は異端として容赦なく排除されますけどそういうのもまっぴらごめんです。

かつての創価学会とか池田大作に目の敵にされた人が徹底排除されたり今も共産党で内輪もめの話があったりしますが自民党や政権与党時代の民主党クラスの規模になったら自壊するでしょうね。

もし万が一にもそんな人たちが政権を握ってしまったらその人たちと異なる価値観の持ち主は生存できなくなりますね。

宗教の話を挙げましたけど組織の理念だけでなく個人の信条の影響もあります。

これが欧米だったらキリスト教が支配者層で主流だったりして聖書を根拠に裏金問題とか政治とカネの問題についてお説教できますけど(というか麻生君のこれまでの所業ってキリスト教的にどうなんですかね。大勢の困窮者を悪政で増やしましたけどキリスト教的な説明も気になるところです)日本人は宗教に関しては創価学会とか統一協会とかの人たちを除きクリスマスもお正月もお盆も楽しんじゃう基本的に雑食系な国民性ですしこれもなかなか難しいものがあります。

多様な価値観の受け入れという観点では生活しやすいんですけどね。

なので宗教の代わりに古典の名文を根拠に道理を説くのも一案ではあるんですけどその古典を読んでいるかどうかも定かでないし古典なんてカビの生えた作文だと思っている人相手にそれが通じるかというとやはり難しいですね。

仮にその古典を認知していたとしても内容に腹落ちしているとは限らず現実の利害、カネを最優先にして倫理はスルーでしょうね。

価値観は共有できないし倫理を説いても蛙の面に小便という人が政治家含む上級国民だった場合はどうすべきかといった話も考えなくてはなりません。

非常に残念なことに不正がなくなることはないのです。

裏金問題を起こしても恥じることなく議員辞職もしない人がいる時点でもうね。

そういう場合はやはり企業も政党も倫理を制度化した上で罰則を設けざるを得ないのかなと思います。

もちろん制度が順守されているかどうかチェックする第三者による外部監査も必須です。

どれだけその種の制度を強化しても人間の欲望だとか性悪説が言う心の弱さを考えると裏金問題など定められた倫理に反する行為がなくならないのは百も承知ですけどだからといって制度がない、あるいは罰則無しで実効性がない場合、問題を起こした人がそのまま居座り続けることになります。

それでは企業にせよ政党にせよますます風紀が乱れ社会一般からの信用を失います。

そういった意味で「企業倫理の制度化」は企業不祥事の防止に効果が薄かったとしても企業不祥事が発生した場合におけるさらなる損失拡大を食い止める上で必須です。

解任も含む罰則を設け不祥事を起こした人にはお引き取り頂かなくてはなりません。

同様に政党でも政治とカネの問題に関しては連座制を適用することで政党倫理に実効性を持たせることが必要ではないかと思うのです。

さもなければ問題を起こした議員が居座り続けて有権者からの信頼をますます失うことになるでしょうね。

 

…といっても与党にせよ企業にせよ一般国民には自己責任で不祥事を本人たちが起こしたら責任転嫁でトカゲのしっぽ切りという人たちですから倫理も何もあったものではありません。

昔から調子に乗った上級国民が勝手に滅びていきましたがきっとこの人たちも滅ぶまでやりたい放題を続けるんでしょうね。

歴史を見る限り色々面倒なことになっていますが戦前のテロ事件みたいにいざ過激派が暴れ出したりして各自巻き込まれないように逃げる準備でもしておいたほうがいいかもしれないですね。

全くテロを起こされる人たちにもテロを起こす人たちにもかかわらないのが一番です。