1302ページ目 ガソリン補助金延長よりガソリン税減税で

ガソリン補助金延長案が出ています。

1ドル150円の円安に加えて中東でハマスイスラエルが本格的に戦闘を始めており今後の原油相場もどうなるかわかりません。

このような状況ですので燃料費高騰対策は必須ですが消費税の二重課税の解消及びトリガー条項凍結解除等税制面の整理が適切だと思います。

既にJAFからも声明がありましたが(朝日新聞記事「ガソリン価格高騰、JAFが上乗せ分のガソリン税廃止求める声明」)鉄道やバスの廃線も相次ぐ中で燃料代まで高くなれば生活が難しいです。

補助金は市場機能を歪めるので好ましくないというなら減税で対応する必要があります。

トリガー条項発動で地方税収が減るといいますが(日経記事地方税収「年5000億円減」総務相、トリガー条項発動で)物流の24年問題と地方創生はどうするのでしょうか。

ガソリン税は国だけでなく地方にも分配されておりたしかに赤字の地方自治体にとっては貴重な税収源になります。コロナ禍で出費がかさんだのでガソリン税で取り戻したいと思っている関係者もいるかもしれません。

しかし物流の24年問題で今後はより一層物流コストは上昇することが見込まれます。

鉄道やフェリーなどトラックに頼らない物流、モーダルシフトに対応する動きもあり新幹線で貨物を運ぶ動きもありますが(東洋経済記事「本州と北海道結ぶ「貨物新幹線」実現への大胆試案」)一方で赤字路線の廃止を検討する動きもあります(日経記事「赤字拡大「廃線検討」1割 ローカル鉄道95社」)。

公共交通機関廃止でモーダルシフトも進まぬ地域ほど自家用車やトラックに依存せざるを得ず燃料代負担を軽減しないと産業誘致も難しいでしょうね。

上がらぬ賃金と上がる燃料代を敬遠し若者も地方を捨てますが地方自治体はそれらの損失も考慮した上でトリガー条項発動見送りを支持したのでしょうか。

ガソリン税で税収が増えたとしても過疎化が進行して若い世代を中心に人口流出が起きる、工場もモーダルシフトに対応しやすい鉄道と良港が充実した太平洋ベルトに移転し不便な地方からは製造業が流出し結果として全体の税収が伸び悩む可能性もあります。

都市部の消費者も他人事ではありません。

通販でも生活防衛で送料含めて1円でも安い商品を検索せざるを得ないです。通販に限らずスーパーなど小売業もですが競争が厳しくレッドオーシャンな状況ですから荷主にしても消費者から選ばれるため1円でも安くしたいので運輸業者との交渉も厳しいものになるでしょうね。

反面でドライバーの処遇改善も必要です。

補助金は即効性があるとの理屈でトリガー条項発動を見送りましたがあらゆる政策を総動員すると言うならトリガー条項を発動すべき、即効性の観点から交渉の難しい送料値上げよりトリガー条項発動による燃料代値下げの方がドライバーの賃上げに貢献するのではないか。

元売りに支払う形の補助金だと中抜きの疑いもぬぐえません。

日経記事「ガソリン補助金「価格に全額反映されず」財務省指摘」もありますが元売り業者が補助金を受け取るだけ受け取って懐に入れガソリン価格を下げない可能性もあります。

石油元売り業界はENEOSと出光が二強でガソリンスタンドが少なく業者が中抜きしても消費者が泣き寝入りせざるを得ない地域も想定されますが競争は公正に行われているのか?

ENEOSの株価と業績を見る限り中抜きしないと経営が難しいとの声もあるかもしれません。実際ENEOSの株価とPBRも見てみましたがさすがにPBR0.5割れは解消したものの株価は554.8円でPBR0.57という有様です。

2024年3月期第一四半期業績を見ると約売上高3兆2千億円(前年同期比マイナス9.5%減)、営業利益約940億円(前年同期比マイナス71.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益約458億円(前年同期比79.3%)となっています。

ENEOSによると国内景気はコロナ禍からの正常化でゆるやかに回復しているが一旦四半期ではガソリン価格が下がって在庫評価損が出た、自動車の低燃費化で構造的に販売するガソリン量が減っている、輸出市況が停滞して海外向けの販売が減った、といった理由が上がっています。

一見芳しい業績ではないですがガソリン類の評価損益を除いた場合の営業利益3400億円で通期で20パーセント増の見通しとなっており在庫評価損益を除くと37.9%増になります。

儲けるなと言う気はないですが補助金は消費者の負担軽減が目的の政策であり中抜きは認められないですね。

トリガー条項発動によるガソリン税減税はかけこみ需要で混乱するとの声もありますが08年のGW中に暫定税率が復活した時の話を言っているのか?

当時はGW直前に給油したおかげで行楽中のガス欠が減り渋滞抑制効果もありましたが事前の周知不足があった点は否めないです。

円高資源安で上乗せ税再開の際には十分周知を行いつつ土日祝日のタイミングを利用するのがよいでしょう。

そんなに混乱が嫌なら先に消費税10%分を非課税にして二重課税を解消したらいいんじゃないかと思います。

生活必需品の値上がりはスタグフレーションを悪化させる懸念があり今冬の気温がどうなるかは不明ですが成長の成果を還元するなら燃料費高騰対策も必須と言えます。