1278ページ目 切羽詰まってる?時の経過で何とかなる?大阪万博

開幕までもう2年を切った大阪万博ですが労働力不足と資材高、工事自体が難しい立地、世界各国との調整不足等々様々な要因が重なってパビリオン整備が進んでいません。

このままでは予定通りの期日に開幕できないので延期すべきと言った声も各所から上がっています。

 

そんな中、博覧会国際事務局のケルケンツェス事務局長は西村経産相との会談で何とかなるので延期はしないとの認識を表明しました(朝日新聞記事「「万博は『沈黙の期間』が続く」 建設遅れ、国際機関トップが激励」ヤフーニュース)。

時が来たら一気に動き出す、2か月もしたら何とかなるといった話ですが2か月で諸外国と話をつけるといった意味でもあるんでしょうか。

まあ諸外国との調整に関してはそれぐらいかかるかもしれませんね。

 

が、もう9月も後半ですからね。

話を付けるのに2か月かかるともう年末です。

実質1年ちょっとで工事を含めた環境整備をやらないとならないわけですが本当に大丈夫なんですかね?

パビリオン建設に関して十倉さんは切羽詰まった状況と言ってます(テレ朝ニュース記事「大阪万博の海外パビリオン建設「切羽詰まった状況」 経団連会長が厳しい認識」ヤフーニュース)。

どっちも延期しないと言ってますけど日本国内で実際に不味いことになっている、万博関係以外の工事も労働力不足で滞っているのは経済界自身よくわかっているはずなだけに切羽詰まっているという状況というのは大本営レベルでもさすがに誤魔化せなかったというべきか。

 

ただ残念なことにどっちも根拠がない楽観論と精神論を語っておりこれは大規模プロジェクトの死亡フラグ大日本帝国の南方戦線とそっくりに見えてきます。

戦前の大日本帝国も根拠がない楽観論で実際に戦えば何とかなる、補給ができなくなっても石にかじりついてでも戦えば勝てるという精神論で最新鋭の兵器と豊富な物量の米英に挑んで完膚なきまでに負けました。

「今や危機とか、そういう状態じゃない。石にかじり付いても4月13日にこれを成し遂げるつもりでいる」って簡単に言ってくれますけど島ですから交通も不便なわけで職人さんと物資の搬入がすごく大変、世界各国が一斉に動き出した場合は収拾がつくのか?労働力不足の状況だと一斉に万博会場に職人さんが集められ全国各地の工事が進まなくなるといった問題もあります。

博覧会国際事務局は1年延期したらコストがかかると言ってますがもともと前回の万博が延期されて本来4年のところを3年でやれというのが無理だったんですよ。

そりゃコストが安く済めばそれでいいんでしょうけど準備不足の万博で残念なクオリティに仕上がったら安い日本、安い大阪という評価が定着するばかりか万博自体が失笑ものです。

 

というか海外の偉い人と日本の偉い人の認識で一方がそのうち何とかなる、他方が切羽詰まってるといった感じで現状認識や危機感を共有できていなさそうな点が危ない、政府の偉い人たちの会議とか会社の取締役会でもプロジェクト自体は推進するけど現状認識は全然違っている状態で進めたプロジェクトがその後とんでもないことになったというのはわりとありがちな話です。

ちゃんと危機感は共有できてるんですかね?まあ海外からすれば労働力が足りなければ賃上げすればいいじゃないという認識である一方で日本人経営者はコストカット命だし万博に投じる税金に関しても増税だとか社会保障費だとかで負担が上がりジニ係数も再分配を加味してもそろそろ0.4になりそうな危険な状況なのにハコモノにカネを使うのは困るわけです。

海外と日本の認識のすり合わせがどれだけできているかは知りませんけどこの種のプロジェクトをごり押しするのは古今東西の為政者あるあるでだいたい失敗に終わっています。

このまま根拠のない楽観論と精神論で突き進んで玉砕した後のことは考えておいた方がいいかもしれませんね。