1264ページ目 社長辞任へ、損保ジャパンにも連鎖

損保ジャパンの社長が辞意を表明しました。

中古車販売大手のビッグモーターが不正を行っていた件を認識しつつも大手損保として取引を再開した件が問題になったためです(FNN記事「ビッグモーター保険金不正請求問題で 損保ジャパン白川社長が“辞任”表明」ヤフーニュース)。

取引再開の理由としては「疑義の追及に時間をかけるよりも、今後の被害拡大を防ぐため厳しい再発防止を条件に、(損保ジャパンの契約者が事故を起こして壊れた車の)入庫再開をすることが、これから入庫するお客様にとっても、当社にとっても、ベターと判断した」「損保会社3社を代表して疑義を追及してきたので、競合他社に現在の取引が大きくシフトする強い懸念を持っていたことも事実」といったことを述べています。

まあ取引再開はぶっちゃけウチが儲からないからというのが本音でしょうね。

 

しかしあれだけあくどい不正をやっておきながらいったい誰が入庫すると思いますか?

パワハラで問題になったビッグモーター社長の息子は損保ジャパンの元社員だし損保大手の中ではもっとも多い人数の社員(37人)をビッグモーターに出向させています(読売「新聞記事ビッグモーター不正、損保ジャパンに三つの疑問…出向者の役割・査定簡略化・事故車紹介の再開」)。

執行役員もいたとのことでビッグモーターと損保ジャパンは昵懇の間柄とも言えそうな状態ですが実際「2022年度末の保険料は120億円と、ビッグモーター社の保険取扱総額200億円の6割を占めるほどになっていた。」とあり、かつ、2022年度末におけるビッグモーターの中古車販売シェアはトップだった(時事通信記事「ビッグモーター、22年度シェア首位=中古車市場に冷え込み懸念も―帝国データ」)ことを考えると損保ジャパンにとってビッグモーターはなくてはならない優良顧客だったことが窺えます。

損保ジャパンからすれば100億円超の保険料が消えるのは痛いです。

 

そして人事を見る限りトップ同士で何か話があったのではないかという気もしてきます。

ビッグモーターが不正に自動車の故障を装って本来必要のない修理で保険を使わせればそれが保険料値上げの口実になるわけで(東京新聞記事「ビッグモーター問題は他人事じゃない…不正請求が自動車保険料アップに影響している? 算出機構が調査に乗り出す」)実情を知っていれば損保ジャパンにとってもそう悪い話ではありません。

ビッグモーターからすればこのタイミングで一斉に損保大手に見放されてしまえば営業どころでなくなりますが損保ジャパンとグルだったのであればそれも全部吐くぞと言って損保ジャパンに取引を再開させたのではないかとも思わなくもありません。

 

物価上昇で自動車保険料も値上げされますがビッグモーターの不正も保険料の値上げに反映されているということであれば大問題です。

さらに業界首位のビッグモーターに引き続き業界2位のネクステージでも不正が発覚しました(時事通信記事「中古車大手ネクステージで不正 斉藤国交相「事実確認したい」 保険契約捏造も」)。

大丈夫なのか?この業界は。

もう中古車販売業者には関わらないのが一番じゃないかと思えてきます。

ネクステージも似たり寄ったりの構図なんでしょうがビッグモーターと昵懇なのが損保ジャパンならネクステージと昵懇な損害保険大手はどこでしょうね。

そう思って調べてみると東洋経済記事「中古車販売大手ネクステージでも不正契約の疑義。保険担当の役員が亡くなっていたことも判明」ヤフーニュースが出てきました。

「2022年度におけるネクステージの収入保険料は全体で約170億円。そのうち4割強が損保ジャパンのようだ。」「損保会社の中で株式の保有割合が最も高いのは損保ジャパンで、4.39%(2022年11月末時点)。社外取締役を務める福島純子氏は、損保ジャパン(旧安田火災海上保険)の出身だ。さらに、同じく社外取の遠藤功氏は、損保ジャパンの親会社SOMPOホールディングスの社外取も務めている。ネクステージへの出向者の状況を見ても、損保ジャパンが保険部門などに6人、東京海上は同3人となっている。」とありまたしても損保ジャパンです。

 

損保ジャパン社長の辞任はビッグモーターだけだったらそのうち何とかなる、ジャニーズ問題や秋本議員の逮捕、今後行われる内閣改造等のニュースでビッグモーター問題も風化していくはずなのでそのままやり過ごせると思っていたところビッグモーターだけでなく業界2位のネクステージまでヤバい問題が発覚してしまい追加の燃料投下で逃げ切れそうにない、ネクステージの件もビッグモーター同様、国交省金融庁が調査することになった場合、また炎上しそうなので先手を打って社長の辞意を表明しておこうという判断だったのでは?と思えてきます。

 

ネクステージの件ではどう説明するんでしょうね?辞任の時期は今後決めることになっていますが(朝日新聞記事「損保ジャパンの白川社長、辞意表明 「大きな経営判断ミスをした」」ヤフーニュース)ビッグモーターとの拙速な取引再開だけでなく自動車保険関係全体のコンプライアンスに関しても説明しなければなりません。

この種の不正を知りながら保険料値上げとかふざけるなよ。

もちろん持ち株会社桜田CEOも損保ジャパンの管理が出来ていなかった点で問題がある、この人、財界活動も熱心で消費税増税の話とかしてましたけど不正を放置で保険料を上げつつ消費税も上げますとか冗談じゃありません。

業界1位と2位が不正をやってそれが保険料引き上げの算定に反映されているということであれば大問題です。

物価高で皆苦しいし特にガソリン代が重たいのに損保大手のせいで余計に家計が苦しくなるとかさすがに看過できないものがあります。

また一連の不正で株価の下落や業績への影響もあり投資家や取引先も被害を被っています(街路樹への除草剤の件では地域住民や自治体も損害を被っています)。

消費者、投資家、取引先、地域等々様々なステークホルダーの利益を保護するため今後はより一層中古車販売業者及び損害保険会社への監督を強化してほしいと思います。