1175ページ目 東証プライムPBR0.5割れ銘柄の検討①

割安株を発掘できるかな?と思い6月2日付で一株純資産が株価を上回っている銘柄、特に割安過ぎて資産の処分を目的に買収者が現れる可能性も否定できなさそうなPBR0.5割れしているプライム市場銘柄について調べてみました。

6月2日の時点では198銘柄ありますがプライム市場上場銘柄は全体で1831銘柄あったのでだいたい1割に相当します。

プライム上場といっても1割は実質的に解散価値の方が上回っている、事業継続の価値無しと判断されている状態はなんだかなぁ…と思います。

いったいどんな会社が多いかと傾向を見てみると突出して多いのが銀行業です。

198銘柄中なんと54銘柄で約4分の1を占めています。

銀行業でプライム上場企業は68行ありますが79%がPBR0.5割れしているという壊滅的な状況です。

一体何があったんでしょうか気になったので後で調べてみることにして次に多いのが化学業界の銘柄で18社、3番目は機械で16社、4番目が輸送用機器で12社、5番目が鉄鋼で11社となっており上位5業種がPBR0.5割れ銘柄に占める割合は111/198で約56%、過半数を占めています。

ただ一方でプライム市場に上場している企業が多い業界もあって例えば化学業界だったら137社ありその中の18社が極端な過小評価を受けていたとしても全体から見れば約13%で業種全体がダメというわけでもない、同様に機械だったら125社がプライム上場でPBR0.5割れの銘柄が16社なので極端な過小評価されているのは12.8%、輸送用機器は50社中12社で24%、鉄鋼業は23社中11社で約47.8%となります。

構造的にヤバそうな業種はどこか?PBR0.5割れのプライム上場企業の割合が多い業種がどこか調べてみると1位が銀行業、2位が鉄鋼業、3位がパルプ紙(10社中4社で40%)、4位が金属製品(31社中9社で29%)、5位が石油石炭(7社中2社で28.5%)でした。

石油石炭あたりはそもそも一桁しかプライム上場企業がなく個別の事情で2社が極端に割安になった可能性も否定できないのですが1位から3位の業種は2桁(紙パはぎりぎり10社ではありますが)の母数があってその中でも3分の1以上が極端な割安になっている、特に銀行業に至っては過半数がPBR0.5割れですから業種の構造的に難しいことになっていると考えられます。

業種ごとの分析は時間がかかりそうなので今日のところは置いておくとして残念なのがPBR0.5割れしている企業の中に日経平均採用銘柄が含まれている点です。

実名を挙げると日本製紙(0.34)、日本郵政(0.35)、三井E&S(0.39)、日産自動車(0.40)、東京電力(0.40)、大平洋金属(0.42)、日本電気硝子(0.45)、コニカミノルタ(0.47)、野村證券(0.40)、エネオス(0.49)、神戸製鋼(0.49)、JFE(0.49)でその数12社、全体で225社あるので5%強が極端に割安評価されていることになります。

日経平均採用銘柄といえば日本経済を代表する企業ですがバブル後最高値ですらこの有様で日本経済は大丈夫か?と思わなくもありません。

上述の通り構造的に不振の業界もあって紙パ業界から1社、鉄鋼業界から3社、東電や日本郵政のように設立当初から大きな問題を抱え特殊な事情がある2社もあるもののもうちょっと何とかならないものでしょうかね。

というか不振の業界だってさすがにPBR0.5割れせずどうにか踏みとどまっている王子製紙や日本製鉄のような企業もあり日経平均採用銘柄だったら何とか結果を出して貰わないと困ります。

他にもプライム移行基準日の時点でプライム経過措置銘柄に指定された銘柄も48社あって中には岩崎通信機のようにプライム市場上場継続を断念しスタンダード市場に移行する銘柄もあり実際には48社より少なくなっているもののアツギや日本金属、エンシュウのようにプライム上場継続を諦めていない企業もあります。

このあたりも今後色々調べてみたいと思います。