1096ページ目 東芝上場廃止へ

東芝日本産業パートナーズTOB提案を受け入れることになりました。

なお買収金額は約2兆円になります。

東芝の上場維持をめぐってこれまでの8年間に色々ありましたがその割にあっけない幕切れです。

2015年に巨額の粉飾が発覚し巨額の損失の穴埋めのため第三の柱になるはずだった東芝メディカルをキヤノンに売却してその場をしのごうとするも2017年に米国の原発建設事業で再び巨額の損失を出しました。

今度はメモリ事業を売却し海外からモノ言う投資家の出資を受け入れとにかく上場廃止だけは回避しようとするも案の定海外のモノ言う投資家が何も言わないはずがなく持て余したので結局自ら上場廃止を選択することになったようです。

粉飾をするような会社が上場を維持するのもさすがにどうなのか、直接的に株式投資をしている人だけでなく年金マネーや日銀マネーもETFの購入を通じて間接的に東芝株を購入しており公的マネーの流入を通じて株式投資をしていない人にも間接的に影響がありいい加減な経営で上場を続けて貰っては困ります。

すでに2015年の時点で一旦上場廃止になって経営改善に取り組むのであれば債務超過を回避するため東芝メディカルもメモリ事業も売却する必要はなく膿を出し切った後で再上場できていたかもしれない、2015年から2023年まで8年間も迷走が続くことはなかったかもしれません。

時間を浪費して東芝も日本経済もいいことはありませんでした。

さて買収資金を出すのは日本産業パートナーズ中部電力オリックス等の国内有力企業が上がっていますが果たしてこの人たちに東芝の再建はできるでしょうか。

東芝にとっての取引先でもあり東芝の迷走を放置するのも困る状況もあって投資をするのでしょうが東芝の企業体質はこの8年の迷走ぶりを見る限り相当難しいことになっていそうです。

成長性が期待されていたメディカル事業はすでになく当たり外れはあるものの当たれば収益が大きいメモリ事業も分離しとてつもなくリスクが高く今後の収益がどうなるか見通すのが困難な原発事業を残している状態で経営再建の難易度も高そうです。

もっとも東芝が潰れたら国策として位置付けている原発産業に大ダメージが来るので東芝自体が経営再建できなくても原発事業維持のため渋々出資を行ったとも考えられなくもありません。

というか非上場企業であれば原発事業が儲からないどころか損失を出しても資金繰りさえつけば市場の一般投資家から文句を言われることもありません。

そう考えると東芝上場廃止は遅きに失した反面で上場企業に求められる高度な情報開示義務もなくなり外部の目も届かなくなるためガバナンスも怪しくなるばかりか原発事業でも安全性より自社利益優先になるリスクもぬぐえません。

上場廃止後の東芝はどうなるか?再上場するのかどうかも実際にどうするのか不明ですが上場廃止になっても大企業であるのは変わりなくきちんとした経営を行ってほしいものです。