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東証プライム維持が難しくなりそうな企業2回目はブレイクスルーです。

ダイヤモンド記事「東証再編が招く「上場廃止ラッシュ」、絶対無理!な改善計画書だらけの深刻実態」にも取り上げらていますがビジネスブレイクスルーの改善計画書及びカリスマ経営コンサルタントの大前氏率いるビジネスブレイクスルーの第25期第3四半期報告書も確認してみました。

リスキリングやリカレント教育等の追い風もあって第3四半期連結累計期間の売上高は過去最高で通期でも過去最高を更新する見込みもあり得る、看板の大学経営も順調、研修セミナーも新規取引先が計画を120%上回る等、売上に関しては改善計画書の大学事業系や法人向け人材育成事業系で堅調な結果を出しています。

目標とする売上高に関しても2025年3月期に100億円を目指すとのことですが2023年3月期売上高予想は約78億円(株予報pro参照)で2022年3月期及び2023年3月期予想並みの売上高成長率15%を2024年3月期2025年3月期も達成できれば決して無理な数字ではないかもしれません。

一方で2023年2月17日時点の時価総額は約53億円ですが大前氏の持ち株割合だけで42.58%も占めておりここから流通時価総額100億円を達成するのはいかに追い風があったとしてもさすがにハードルが高すぎるのではないかと思います。

ここまで流通時価総額と現時点での時価総額の乖離が大きいと投資を考えている投資家であってもいったんスタンダードに移動しある程度株価が下落してからでないと投資をしづらいのではないでしょうか。

利益に関しても先行投資を積極的に行ったが故に芳しくない状況ですが前年比10%以上も売上が増加すればその分コストもかかる、特に新規開校は初期投資が重くなりがちな面もあるだけに成長痛としてやむを得ないところです。いずれ回収は可能だとは思いますが2025年3月という期限に間に合うかどうかは微妙かもしれません。

そして大前氏が代表取締役会長かつ筆頭株主ですが相続はどうするのか。株式の処分方法次第で株価下落もあり得る点も懸念です。また79歳で現役ですが後継者に関してはいないはずがない、社内に誰もいなかったとしてもビジネスブレイクスルー大学院の人材がいるはずなのでここで何とかできなかったら今まで何をやっていたのかという話になってきます。

とはいえカリスマ経営者の抜けた穴を埋めるのは相当大変、健康問題で何かあれば特に知名度の点でメディア等での露出も減る可能性も否定できず埋没しかねないところもし懸念です。

業績面だけ見れば「ブレイクスルー奇跡の生還」に賭ける、未だ時価総額が手堅く100億円台をキープするのが難しい状況でプライム上場にチャレンジし薄氷の上を踊っている状況で今度こそ氷が割れて溺れそうになっていますが諦めない人に奇跡は訪れることも稀にあります。

堅調な業績に加えて何かサプライズな新規事業があれば九死に一生を得られるかもしれないがまず自社で運営するビジネスブレイクスルー大学院の学生やOBともよく相談して何かやってみるのもよさそうです。

「構想力講座」を昨年開設していますがその成果をビジネスブレイクスルーの経営に活かす、実際に起業のチャンスを提供しブレイクスルーを起こすことでビジネスブレイクスルー大学の評価が上がれば株主優待の価値も上がり投資家に買ってもらいやすくなるかもしれません。

実際のところ賭けはどうなるか不明で流通株式時価総額の壁は相当分厚いですが「政策に売り無し」とも言います。政局で動きがあり首相が交代したとしても学び直しは誰が首相になろうと継続して取り組まなければ失われた30年の脱却はありません。

スタンダードに上場先を変更して目先の株価が下落したとしても中長期で見れば事業でなくプライム上場の看板が理由で投資をしていた人が手を引くタイミングで投資をするのも決して悪い選択ではない。スタンダード移動からの奇跡のカムバックでプライム廃止を機に見限った奴らを見返すのも一興です。

東証プライムでなかったからといって事業の将来性が落ちるわけではないのでスタンダードでも評価する人は評価するでしょう。

経営自体は順調に拡大しており一発逆転を狙い薄氷の上で敢えて上場廃止というリスクを取ったダンスを踊る必要もありません。今このタイミングで無理にプライム上場を維持するのでなく着実に力をつけ別の機会にプライム上場を狙う方が堅実なのではないかとも思います。