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さて東証プライムに残れそうにない企業をいくつか見てみることにしようかなと思いました。第1回目はピーバンドットコムです。

東証プライム時価総額最下位はピーバンドットコムで2023年2月17日の非流通株式も含む時価総額はたった26億円でした。

プリント基板事業の企業で社名でもあるネット販売サイトP版ドットコムを運営しファブレスで設計から製造や実装まで手掛け幅広い取引実績があります。

なおプリント基板というのは機械とか電化製品の中身、回路とか色々くっついているあの板のことです。

2017年にマザーズ上場、2019年に東証1部に昇格しているが創業自体は2002年とIT革命前後に大量発生した新興企業の内の1社です。

作りっぱなし売りっぱなしというわけでもなく廃品基板の無料サービスや古い基板の復元、デジタル化にも熱心で東日本大震災発生時には品薄になったガイガーカウンターの販売と学校や病院への寄付も行うなど仕事自体は大変評価できる内容でした。

だだ41ページ分にわたる改善計画書で既に書いてある通りネット販売の競合大手との競争が厳しい、高収益性であっても低成長である点が指摘されています。

その高収益性に関しても2022年3月期の業績は売上高及び当期純利益とも減らしておりのっけから躓いた形となっています。世界的な半導体不足の影響が現れた格好ですが2023年3月期第3四半期決算短信においても売上高は若干回復だが四半期純利益は減益で減益率は第1四半期第2四半期よりは改善したものの未だ半導体不足の混乱が尾を引いているのでしょう。V字回復できるかどうかは微妙です。

ファブレスですが世界最大のプリント基板生産地が中国であることも考えると地政学的なリスクも無視できません。

持たざる経営というのは自由貿易で取引がしやすい環境だったら効果を発揮しますが貿易制限だとか物不足になりそうな局面だと自前で生産できる持てる経営の方が力を持つこともあり得ます。

そして流通株式比率は2021年6月末時点で52.6%ですが時価総額20億円なら流通時価総額はスタンダード上場基準の流通時価総額10億円以上も確保するのが厳しくなってきます。

2025年でなく2030年までの長期経営計画が記載されていますが内容自体は悪くはない、P28~P31の適合計画の実現可能性とリスク要因においてPBRやPERとの関係で流通時価総額100億円突破の実現可能性について説明している点は興味深いものがああります。

ただ残念なことに投資家はピーバンドットコム含むBtoBのeコマース企業4社だけを見て投資先を決定しているわけではなく売上高に着目するならもっと伸びそうな企業、売上高だったら前年比3割ぐらいupの企業に投資するのではないかと思います。

あと取り組みが遅い、この経営計画だったら最低限5年前の時点で着手してほしかったです。

P14では2025年3月期まで第3の事業の探索と種まきを行うとしていますが2022年3月期実績及び2023年3月期の進捗状況を踏まえるとこの経営計画で2025年3月1日までに流通時価総額100億円を達成するのはよほどのことがない限り難しそうです。

P16で期間中のできるだけ早い時期に達成を目指すとしていますが時価総額20億円台からの飛躍は5年ぐらいかけてじっくり行う予定なのであれば2023年の再指定で一旦スタンダードに移動するのが妥当でしょう。

そもそも経過措置というのは暫定的なものであって5年も10年もそれを続けるのを想定していません。

とはいえ計画自体はしっかり説明する意思を感じられ好感が持てる内容でした。

2030年に何が起きているか分からない、というか核戦争の危機にある中で再びガイガーカウンターが話題になって株価が暴騰する可能性も脳裏をよぎったのですが株価云々以前に核戦争だけは本当に困る、もしそんなことになったら株式投資どころの話ではありません。株を買うよりシェルターや備蓄食料を用意したりする方が必要になりそうです。そういった意味でガイガーカウンター関係で話題になるような恐ろしい社会が到来しないことを切に祈っています。

大器晩成というが2030年までの中長期計画自体はプライム市場に残留できなかったとしても実現を目指し2026年3月期から2028年3月期にプライム市場再上場を目指して頑張ってほしいものです。