1490ページ目 GDP5位はインドでなく日本

止まらぬ円安と斜陽化が止まらない日本。

昭和平成では米国に次ぐ世界第2位のGDPを誇る経済大国だったのが失われた30年を経て中国、ドイツに抜かれGDP世界第4位となっています。

しかし凋落は止まらずとうとう来年にはGDPでインドに抜かれ5位になる見通しとなりました(日経記事「インドのGDP来年日本を抜く IMF推計4位、円安で早まる」)。

 

もともと中国もインドも世界人口ランキングでは1位と2位でどちらも14億人です。

日本は11位の1億2千5百万人で10倍以上の差があります。

経済のグローバル化で製造業が中国やインドに工場を設けたりIT産業で米国や欧州、日本等からアウトソーシングを受けたり等々すれば経済成長も加速し流入した外貨で現地の内需も活発化します。

元々人口が多い国ですから中間層が増えればものすごい経済成長のエンジンになるのは想像に難くありません。

日本だって何だかんだで人口のボリュームゾーンである団塊世代団塊ジュニア世代が中間層の生活を送ることで内需を活性化させGDP世界第2位のポジションを長く維持することもできましたからね。

もし仮に日本経済が失われた30年を脱却したとしてもよほどのことがない限り中国とインドに追い付くことはできないでしょう。

というか歴史的には中国もインドも世界帝国でしたし明治維新以前は日本の方がはるかに格下でした。

中国はバブル崩壊と日本以上の少子高齢化及び若者世代の就職難もあってどうなるかわからない、インドも格差が大きすぎて中間層がどれだけ増えるかは未知数な面もあります。

戦争だとか内乱でも発生して国家分裂とかあればまた話は変わってくるかもしれませんがさすがにそんなことはないんじゃないかと思いますね。

 

2024年時点でGDPは1位米国28兆ドル、2位中国18兆ドル、3位ドイツ4兆5千億ドル、4位日本4兆1千億ドル、5位インド3兆9千億ドル、6位英国3兆4千億ドル、7位フランス3兆1千億ドル、8位ブラジル2兆3千億ドル、9位イタリア2兆3千億ドル、10位カナダ2兆2千億ドル(千億ドル未満切り捨て)となっています。

円相場が1ドル100円から150円に下落すればGDPもドル建てなら3分の2になる、1ドル100円まで戻ればまた6兆ドルぐらいの水準まで戻る可能性もなくはないです。

実際2012年時点のGDPは米国16兆ドル、中国8兆ドル、日本6兆ドルでしたし。

もっとも為替相場以前に中国もインドも10年前より素の実力が強化されてますから再び追い抜くのはやはり難しそうですが同じく少子高齢化で産業構造も類似点があるドイツに追い付き追い越すぐらいはできないものか。

人口8000万人で日本の3分の2しかないドイツに負けてるのはかなり不味いです。

出生率に関してはドイツの方が日本より上ですがこれは移民が押し上げている面がありますので単純にドイツと同じことをすれば勝てるというわけでもありません。

まあ富裕層でさえ政府の意向次第で一瞬で抹殺されたり若者の職がない中国からの移民を日本に呼び寄せることができれば人口に関しては幾ばくかの下支えになるかもしれませんけど中国だって少子化ですし日本に移住してきて出産子育てするかどうかは未知数です。

 

かなり残念な状況で再び日を召すことが出来るかと言うとやはり難しいものがあります。

過去の失敗を悔いても仕方がない面はあるとはいえ失われた30年における政財官の無為無策ぶりが悔やまれます。

80年周期説の話も以前にしましたがGDP5位転落でこれも太平洋戦争以来の経済敗戦と言えるかもしれませんね。

 

太平洋戦争敗北時には東久邇稔彦が「「一億総懺悔」を説いています。

敗戦は政府の政策もよくなかったが、国民の道義がすたれたのも原因であるから、軍官民、国民全体が徹底的に反省し懺悔しなければならない」と言うお話です。
ああこういう人がトップになるような国だから日本は負けたんだなと。

一応この人はこの人で戦争回避に尽力はしたし陸軍の横暴に手を焼いていたらしいですがさすがに一般国民にも責任をかぶせてみんな悪かったということで責任を有耶無耶にするのは大問題です。

戦時中だって軍部の横暴に抗議して特高に捕まって拷問されたり獄死した人もいました。

みんながみんな時代の空気に流されたわけじゃなくきちんと声を上げた人もいたんです。

そういう人まで免責されないというのもいかがなものか。

赤紙で徴兵されて無謀な作戦でも逃げずに戦いお亡くなりになった兵隊さんも大勢いるし残された家族だってさんざんな苦労をしたんです。

この人たちは軍部の作戦だとか政府の外交経済政策が間違っていたとしてもどうすることもできず特高による弾圧も考えると不可抗力な面が否定できません。

そういう人にまで戦争はお前たち一般国民の責任だとか言うのか。

ふざけるなよ東久邇稔彦、お前ら戦時中でも腹一杯食えた上級国民こそ責任をとれ!と思った人は当時もさぞ多かったことでしょう。

 

日鉄の三村君が失われた30年は国民の責任だといった趣旨の話をしていた件は以前にも取り上げましたが今も昔も一般国民は自己責任、上級国民は無責任なのは変わらないようです。

敗戦国家や斜陽の会社など上手くいっていない組織の偉い人ほど本人自身の自己責任だけは徹底的に否定し責任転嫁する、他責傾向があるものですがこういう無責任な人がトップになることが敗戦だとか失われた30年の原因だったのではないかと思えてきます。

「も」ってなんだよ「も」って。
私「も」悪かった、とか我々負け組を不十分な賃金でさんざんこきつかっておきながら働きが悪かったので一般国民も悪いとかなんだそりゃ。

みんな「も」悪い、国民全体が悪いとか意思決定権限を持つ偉い人が責任の所在を曖昧にする発言をし出したらそれは滅亡フラグです。

保身を最優先にする人が責任追及されたくないために予防線を張って「私は悪くない」と言っているのと同じ事、「私も悪かったけどお前も悪い、だから私を処分するのは間違っている」という意味になるわけで責任回避の言い訳そのものです。

言い方が大事なんて話もありますけど「私は悪くない」をどう言い換えたって無責任であることには変わりなくむしろ言い方を変えて誤魔化すところがより悪質です。

いざという時に責任を取れない人が指揮をとったって勝てるはずがありません。

偉い人が他責思考の会社も国も負けるべくして負けるのです。

 

日鉄名古屋製鉄所では2000年代以降から近年に至るまで深刻な事故が相次いでいますが日経私の履歴書でも2003年の爆発事故の件は取り扱ってましたね。

その後も2014年にも1年で5回も事故があったし(東洋経済記事「新日鉄住金、報告書に浮かぶ連続事故の真因」)2023年にも死亡事故が起きています(中日ビズ記事「工場作業員 挟まれ死亡 東海市の日本製鉄名古屋製鉄所内」)。

まともな資料を提示しても26回も値上げ要請を拒むほど理不尽というかサイコパストヨタのコストカットに巻き込まれて名古屋製鉄所も安全無視の「トヨタ生産方式」に染まっていったんだろうけどそういう他社の悪い企業文化に流されないような企業文化をきちんと構築できたのか?

三村君は2003年の事故について若い奴らがコストカット優先で安全を疎かにした的なことを言っていますがそもそも2000年代だったら氷河期世代は塗炭の苦しみで就活してたし新人で工場のあれこれを指図できる立場や裁量を有していません。
三村君の下の世代、当時は中堅世代で今は経営者世代になった新人類世代の管理が悪かったとしか思えないんですよ。

別の会社だけど創業以来の大赤字になった住友化学の十倉君とかも新人類世代ですしこの新人類世代はかなりダメな奴らなんじゃないかという気もしなくはないんですけどね。
というかリストラしまくったのは三村君たち焼け跡世代とかその下の団塊世代じゃないか!失敗を若い世代のせいにして私は悪くないとかふざけるなよ。

どうせ三村君はとにかく出世したい、経団連会長の椅子に座りたかったしそれ以外興味なかったんだろうけど全く反省してなさそうです。
東芝の西室君みたいに経団連会長になりたかったからずっと財界引退しなかったんでしょう。
社内じゃあ神様みたいな扱いなんだろうけどとんでもない!

 

偉い人ほど責任を認めて謝罪することは少なくなりますが偉くても偉くなくてもダメなものはダメです。

失敗したらきちんと謝罪してけじめをつけなければなりません。

過去にも偉い人が謝罪して話題になった事例もあるにはあります。

山一證券倒産の一件とかね。

バブル崩壊後の4大証券の一角が倒産した話は山拓ショックとして社会に衝撃を与えたのを思い出します。

山一証券はろくでもない会社だったし涙の社長会見とか泣くぐらいだったら粉飾とか飛ばしとかすんなよと思ったものですがそれでも「社員は悪くありません、全て経営者の責任です」と認めてはいます。
経営者だったら潔く経営責任は認めないとな。
一般社員とか負け組ほど選択肢が少ない、意思決定の裁量が小さかったり経営資源の制約で不自由だったりしますがそうでない経営者が経営責任を認めないのはあり得ないです。

清水宗治浅井長政のように城主は切腹するので一般兵士や女房子供は助けてくださいと敗戦の責任をとった武将もいて日本では古来から将軍に対して潔さを求める人がいるものです。

失われた30年でさんざんな経営をやって取引先も社員も疲弊させておきながらみんなが悪い、私だけに責任を押し付けるなという姿勢は大変見苦しいです。

そういう人が政財官の重要なポジションに居座る限り失われた30年は続く、もしかするとGDPだってインドだけでなく英国やフランスにも抜かれる日がやってくるかもしれません。

太平洋戦争敗戦時には一億総ざんげで国民も悪いという話についてGHQのみならず一般国民からも反発の声が上がりましたがその後、東京裁判で当時の偉い人は裁かれました。

これもBC級戦犯の取り扱いだとか裁判の進め方だとか異論も出てきますし結局逃げ切った戦犯や戦犯にすらならなかった者たちもいて不完全な代物ではありました。

ただ無謀な戦争を指揮して私腹を肥やしながら逃げ切る姿勢はさすがに看過できないしそういう人が敗戦後も要職に引き続き居座るのは戦後復興の障害になります。

公職追放に関しても別の人材に入れ替える、思想云々以前にこの人たちの無能さゆえに敗戦に至ったことを考えると有能な人材にチャンスを与え組織の新陳代謝を活性化させるという点で戦後復興の一助になったのではないかと思います。

采配は責任をとる人、有能な人が取るべきものです。

三村君や十倉君のような無責任で無能な人に指揮を任せたら滅亡必至です。

失われた30年脱却のため東京裁判公職追放をやれと言うのもどうなのかとは思いますが偉い人が責任をとって失敗のけじめをつける、既得権益を貪る無能な人を取り換えて別の有能な人にチャンスを与えるのは太平洋戦争敗戦処理時だけに限らず古今東西で王朝の交代時に行われています。

まずは信賞必罰の徹底と人材の新陳代謝が必要、それをしない限りは斜陽が続く、失われた40年もあり得るんじゃないかなと思います。