まーた宝島社が変な広告を出しましたよ。
1月5日の全面見開き日経広告ですね。
「失われた30年じゃない。天才たちが生まれた30年だ。」と言い張ってます。
なお広告は「野球を、フィギュアを、将棋を見よ。ちゃんと世の中見渡してみよう。この30年は、たくさんの才能が生まれ羽ばたいた30年じゃないか。この国は何も失ってない。あえて言えば、一部の既得権益が消えただけだ。日本中の新たな才能たちへ。過去を嘆く上の世代は気にしなくていい。途方もない目標を口にして、好きなだけ自信を持ち、いつも自分を楽しんで、行けるところまで駆け抜けてくれ。宝島社」と続きます。
ったく宝島社といえばいつだったか団塊の世代のハイヒールの広告を出してましたけど何なんでしょうねもう。
今回の広告も色々とツッコミどころ満載なのですが。
結論から言うと誰がなんと言おうと失われた30年は失われた30年です。
まあ宝島社が挙げた野球やフィギュア、将棋で目立つ活躍をした選手もいるにはいますね。
たしかにその人たちはすごいですよ、その人たちはね。
けどね可処分所得とかバブル崩壊後は下がりっぱなしじゃないですか。
賃金は上がんないのに消費税と社会保険料ばっかり上がって少子化も進みました。
これはもうスポーツの力じゃあどうしようもないやつですね。
そういえばアルゼンチンも戦前は経済大国でしたが現代ではデフォルトなどが相次ぐ残念な国になっています。
けどサッカーは強くてメッシやマラドーナとかいるのでアルゼンチンは何も失っていないとでも言うんですか?
国破れて山河あり、ならぬ国破れてサッカーあり、ですけどスポーツだけ強調して貧困から目をそらすのもどうなのかと思いますね。
科学技術とかも基礎研究だとか低調で引用回数の多い質の高い論文とか日本からはどんどん減ってるんですけど先進国だったら科学技術とか経済をもっと頑張りましょうよ。
国全体のGDPに関してもドイツに抜かれて4位になります。
宝島社さんはちゃんと世の中見渡してみましょう。
一部の活躍した人だけ見るんじゃなくって経済全体を見渡した方がいいですよ。
ていうか出版不況ですけど宝島社さんはどうなんですかね。
社員さんだとか外注してるフリーランスの人たちの財布の事情とかは?
財布からどんどん中身が失われていく30年なんですが。
みんなの財布の中身を一部の既得権益とか言うんですか?
格差拡大でジニ係数も過去最悪の水準に悪化して社会不安が増大する目安である0.4すれすれの状態になっていますけど中間層が既得権益層というのもどうなのかと思いますね。
ていうか上級国民の既得権益は世襲議員とか見ればむしろ強化されてるんですけどね。
少子化も進んでますけど天才の出現率が一定だとすれば全体の母数が減ればその分だけ天才の出現人数も比例して減少します。
日本中の新たな才能たちも人口が多かった昭和の頃より少子化の令和はどんどん減っていくことになりますね。
天才の絶対数も減っていく失われた30年なんですけどそれでもまだこの国は失っていないとか寝言は寝てから言ったらいいと思いますよ。
過去を嘆く上の世代より一部のスポーツ選手の活躍だけ見て過去を全肯定する宝島社さんみたいな人達の方が気になるんですけど。
そもそも野球の大谷選手とか将棋の藤井八冠とかもっと同世代が多くて競争率が高ければ今のように圧倒的な成績を叩き出せたかどうかは不明ですが同格の天才が他に一人でもいたらその分だけ手に汗握る名勝負が増えたかもしれず一人で野球界だとか将棋界を背負うような重圧はなかったかもしれないです。
大日本帝国末期もたまにB29を撃墜することもありましたけどそういう局地戦の勝利だけ見て大戦果を上げたとか言い出す人と似てますね。
ゼロ戦のパイロットも敵機だけでなく無能なくせに責任転嫁ばかり上手な偉い人には相当手を焼いたかと思います。
大局的な観点から見れば失われた30年でこの国もこの国に住む一般国民も多くの豊かさを失っています。
途方もない目標というか目標以前に現状認識が途方もない現実逃避にしか見えませんね。
自信は大事ですけど好きなだけというのはさすがにちょっとね。
子供じゃないんですからそこは客観的な実力を踏まえた対応が必要です。
さもなければ大日本帝国みたいに再び完敗するでしょうね…ってもう日本はコロナ禍を経て完敗してましたっけ。
まあ楽しい事ばっかりじゃないというか苦々しいことばっかりなような気がするんですけどたぶん気のせいじゃありません。
行けるところまで行くも何も日本からはもう脱出した方がいいんじゃないか?という気もしてきますが実際にそうなったら困るのは日本国だったりします。
ただでさえ少子化が進んでいるのに外国に脱出する国民が増えたら社会の維持とかどうするんでしょうね。
行けるところまで駆け抜けろと言いつつ日本から脱出する人が増えたらやっぱりどこにも行かないで~と言い出しそうですね宝島社さんは。
まず大事なのは現状認識です。
一部の天才だけ見て日本は失われた30年じゃないなんて言い出すのは現実逃避としか言いようがありません。
というか若い世代を持ち上げているように見えて失われた30年で政治経済の舵取りをした偉い人が失敗を認めたくないだけなんじゃないか?
日経の読者の中にもそういう偉い人もいるかと思いますが宝島社さんは若い世代よりむしろ上の世代の偉い人の過去の意思決定を擁護するためにこの愚かな見開き全面広告を出したのではないかと思えてきます。
若い世代を持ち上げると見せかけた団塊の世代擁護ですね。
そういう狡っからいことをやっているから失われた30年が続くのです。
大局的に見れば日本から多くの豊かさが失われたのは現実であり特に中低所得層の財布の中身と若年人口の減少は顕著です。
天才がいるのでこの国は何も失っていないとか負け惜しみと現実逃避の全面広告はもうけっこうです。
出版業界も斜陽な業界ですがそういうことなら宝島社さんも賃上げだとか外注費の支払い増額をしたらいいんじゃないかと思いますね。