1334ページ目 国債の買い手と格差是正と世代間扶養

日本国債を購入したいという需要が増えているようです(日経記事「国債オペ減額も需給盤石」)。

国債だったら利上げで評価損が生じても満期まで保有すればよく長期金利も上昇するなら安全資産として購入するのも悪くない選択ですね。

こんなことを言うと日本は国債を大量発行していて財政破綻が心配だと言う人も出てきますがここはちょっと考え直さないといけません。

 

日本国債の購入原資ですが地銀や生保が買い手なら大元は預金者と保険契約者のカネになります。

高齢世代も金持ち老人と貧乏老人に二極化している一方で全体としてみれば豊かな昭和で現役世代だったため富裕層が多く現預金や保険志向が高いのもこの世代の特徴でもあります。
高齢世代ほど投資をしない、現預金で資産を保有するといった話もありますがペイオフもずっと前に解禁されているので1行あたり1000万円以上の分はある意味投資です。

ペイオフが心配なら分散して預金すればよいだけの話です。そして銀行だったら再編が必要なほど余っています。
古今東西の事例を見る限り預金だって預金封鎖リスクや新円切替リスクも考慮しなければならないですがそれでも預金が安心安全だと言う人に関してはそれも本人の意思決定です。
ただその預金を地銀がどう運用するかに関しては基本的に地銀次第で高齢世代の使わない預金を通じて日本国政府国債に投資するということであればこれも形を変えた世代間扶養と格差是正となります。


マクロ経済スライドが2年続けて発動したものの(日経記事「年金額抑制、2年連続」)将来世代のため仕方がないといった意見を知ってか知らずか民間金融機関や家計のカネの流れも含めた経済全体のカネの流れを無視して言う旧大蔵官僚がいますが(実際のところ増税したいのでわざと知らないふりをしているのだろう。東大と国Ⅰに合格したのにさすがにこんな初歩の話を分からないはずがない)実際には金融機関の預金や保険料収入を国債の購入原資に充てその国債で日本政府が調達したカネで年金財政を下支えしているのであればもし破綻した場合でも預金や保険契約をたくさん持っている世帯ほど損をするだけの話であり高齢世代が高齢世代のカネで支え合っているという見方ができます。
無理にマクロ経済スライドを続けてもインフレ対応できないのであればそれが社会保障制度の魅力を引き下げ高齢世代のみならず将来世代も政府に対する不信感を持つようになる可能性もあります。

名目上年金財政が存続しても実質的にマクロ経済スライドでインフレ対応できない社会保障制度になり下がり国民のニーズを満たせず事実上存在意義を失わせる状態になるのであれば存続する意味に乏しいです。
無理に給付を抑制したり保険料を値上げしたりするより金持ち高齢世帯が生きている間は銀行預金を通じて日本国債に投資することで若い世代や貧乏老人というかカネが必要な人たちを支え死ぬときに相続税で生きている人を支えるということでよいのではないかと思うのですが。


貯蓄から投資へということで投資の促進はもちろん必要、特に株式市場に預金が向かえば株価の値上がりを通じてGPIFにも利益があるのですがどうしてもやりたくないという人に関しては無理に勧めることもないです。
年金については別ルートでの財源確保も実施する、民間金融機関の預金を国債を通して政府が吸い上げ再分配することで支払うのがよいでしょう。

満期になったら金融機関には借り換えてもらって金利を受け取り続ける、国債消化のため預金獲得キャンペーンもやって預金者にサービス還元をしてくれたらなお良しです。


高齢者が金融商品を購入するにあたっては手続き的に色々と大変な面もありますが無理に仕組債とかリスクの高い金融商品を勧めて手数料を稼ぐより預金のままにして国債を買う方が色々な意味でリスクは低いのではないか。
そして日本国債を購入したい国内投資家は大勢います(日経記事「国債オペ減額も需給盤石」)。
そういうことなら国内金融機関を通じた間接的な日本国債への投資で高齢世代の使わない預金は社会全体のために有効活用させてもらうのがベストなのではないかと思いますね。