1444ページ目 トランプの快進撃とヘイリーの撤退

米国大統領選の候補者選びが共和党で本格化していますがトランプ前大統領が圧倒的に優勢です。

共和党の予備選の山場であるスーパーチューズデーでも既にトランプ氏が15州のうち5州を制したとのことです(日経記事「「スーパーチューズデー」15州で投票 トランプ氏、5州制す」)。

なおトランプ氏に対抗するヘイリー元国連大使バーモント州で勝利はしましたが(朝日新聞記事「スーパーチューズデー、ヘイリー氏がバーモント勝利 「全勝」は阻む」)全体で見ればトランプ氏が優勢となっておりヘイリー氏は撤退することになりました(ブルームバーグ記事「ヘイリー氏、大統領選候補者争いから撤退へ-本選挙は2020年の再戦か」ヤフーニュース)。

 

ヘイリー氏は反トランプ票や中道右派に支持が多かったのですが多くの共和党支持者が選んだのは銃規制強化反対で人工中絶反対、イスラエル支持(時事通信記事「トランプ氏、イスラエル支持を明言 TVインタビューで」ヤフーニュース)でゴリゴリの右派であるトランプ前大統領です。

一体何でトランプ氏は再び人気になったんでしょうね。

コロナ禍でも散々な不評ぶりだったからバイデンに交代したんですけどね。

…いやそれでバイデンに交代したのが原因か。

あまりにもバイデンが期待外れすぎた、リベラルはやっぱり駄目だという結論に至った共和党支持者があまりにも多かったんでしょうね。

 

トランプも高齢ですけどバイデンも高齢ですでに81歳です。

年齢に不安を抱く有権者が多いのですが(朝日新聞記事「「バイデン氏はあまりに高齢」と86%が回答 高まる米有権者の懸念」)ボケてるというか認知症なんじゃないか?と疑いたくなるような発言もあったりします(ゲンダイ記事「再選絶望バイデン大統領のあり得ない「ボケ語録」量産…米司法当局が事実上の認知症認定」)。

長男がいつ死去したか思い出せなかったりエジプトの大統領をメキシコの大統領と間違えたりドイツのメルケル前首相を冷戦期のコール元首相と間違えたりとかなり危ないです。

 

しかしそれ以上に実害があるのはインフレです。

プレジデント記事「なぜアメリカ人は「トランプ返り咲き」を待望するのか…インフレに苦しむアメリカ人にトランプが放った一言」には2015年12月末から2023年12月末までの8年間で物価が25%も上がったがその値上がりのほとんどはバイデン政権時代だったといった話がありました。

日本も実質賃金の下落が厳しいですが米国も同様で賃金は上がったものの物価上昇に追い付いておらず仕事を増やさざるを得ないとのこと。

日本だろうが米国だろうが一般国民が貧しくなったら現政権に逆風になるのは当然の話です。

さすがに日本の民主党と米国の民主党を同列に扱うのもどうかと思いますが自民党が政権に復帰できたのは自民党が酷過ぎるから民主党政権交代させたのに民主党時代があまりにも期待外れだったので他に選択肢がなく渋々自民党を選ばざるを得なかったという背景があります。

これと似たようなことが米国でも起きているのではないかという気がします。

高齢批判だけだったらトランプだって高齢ですしヘイリー氏が選ばれてもよさそうですが共和党の中でもリベラル寄りだったのがヘイリー氏に逆風になったのかもしれません。

民主党と政治的に妥協してバイデン政権からの路線転換が実現しない、インフレも放置されるのが納得いかないと考えた有権者もいたのではないかと。

トランプ人気というよりバイデン不人気、自民党の政権維持を旧民主党の不人気ぶりが支えているのと似たような構図ですけどトランプが復帰した場合はどうなるんでしょうね米国は。

 

日本の自民党も政権に復帰してからというもの禊は済んだとばかりにやりたい放題で格差が拡大し汚職も蔓延しましたがトランプも復帰したら禊は済んだとばかりにやりたい放題になるかもしれません。

そうなった時に後悔する米国民も少なからず出てくる可能性も否定できません。

規制撤廃で犯罪発生率は増加するでしょうね。

ウクライナ関係に関しても欧州各国からカネを引き出したいから「欧州の加盟国が国防支出を増やさなければ、ロシアに侵略されても防衛に協力しない」(読売新聞記事「トランプ氏、NATO防衛巡り「守らない」「ロシアにやりたいこと奨励する」…国防負担で「脅し」」)といった主張をしているのかもしれないですがこの駆け引きで失敗して本当に米国がウクライナ支援から撤退してしまった場合はウクライナがどれだけ持ちこたえられるかは不明です。

航空機や艦船の撃墜撃沈で戦果は挙げているものの領土の奪還は難航しています。

陸上戦力も弾薬がなくなれば首都防衛も苦しくなってきます。

イスラエルのガザ侵攻も歯止めが効かなくなるでしょうね。

対中政策では中国からの輸入に関税引き上げを検討しているとのことですが(日経記事「トランプ氏、対中関税を検討 大統領就任なら一律60%」)台湾有事に関してはウクライナやガザの扱いを見る限りどれだけ真剣に防衛するかは不明です。

台湾に思い入れはないといった話も現役大統領の時代にしていたそうですがカネ次第で台湾を放棄する可能性もゼロとは言い切れないかもです。

 

米国の民主党には残念なことにバイデンに代わるほどの候補は見当たりません。

キャラ的に強烈なトランプ氏が返り咲く可能性が高まっていますがバイデンとはまた違った意味で何を言い出すか分からない怖さがまた戻ってくると思うと頭が痛くなりそうですね…。