1439ページ目 政治活動費の公開と税務調査

裏金問題で政治倫理審査会が行われましたがやはりというべきか重要な新事実は出てきませんでした。

裏金政治家が正直に白状するわけがない、ここで白状するんだったら検察だって立件しているんじゃないかと思います。

まあそれでもやらないよりやった方がマシではあるんですけどね。

裏金問題で政治資金収支報告書を訂正した人たちは大勢いますけどそもそも政治倫理審査会すら出てこない人もいるわけでこれも選挙の際に判断材料にしたいと思います。

 

もっとも訂正しても使途不明な点は問題です。

制度的に政治活動の自由を名目に政治活動費は非公開だし原則非課税となっています。

こういうのもあるから裏金作り放題で脱税やりたい放題になるんです。

この件に関し自民党野田聖子総務相は外交など国家機密にかかる支出もあるので非公開が適切だと主張しています(朝日新聞記事「自民・野田聖子氏「政策活動費、機密保持に最低限必要」ヤフーニュース)。

一見もっともらしいことを言っていますがそういうのは政府にも官房機密費というのがあります。

これもこれで非常に問題がある、安全保障上の機密と言いつつ議員だとか役人が私的に流用する事例もありました。

ただ政府でもすでに機密費の類は存在するわけでわざわざ議員個人に重複して機密費を認めるのもどうなのかと思います。

本当に重要だったら本来の機密費の使い方で政府から出せばいいのですからね。

表立って政府が動けないので議員個人が動くから必要だとの理屈もそれができるほどの大物議員は限られています。

中堅若手程度にそこまでの重責を担えるかというと甚だ疑問ですがそれ以前に官房機密費自体が表立っていない政府の支出なわけでやはり議員個人に外交機密等を理由に政治活動費の非公開を認めるのもどうなのかと思いますね。

 

 

さらに広瀬めぐみ参議院議員が不倫発覚で問題になっています(週刊女性プライム記事「「赤ベンツ不倫」報道の広瀬めぐみ議員の皮肉すぎる経歴、“ドロ沼”離婚も扱う元・家庭裁判所調停委員」ヤフーニュース)。

別に有名人の不倫問題とか個人的には心底どうでもいいです。

ただ税金で活動している政治家に関しての話は別です。

まさかとは思うが不倫で使ったホテル代とかデート代を政治活動費で私的流用してはいないよな?

不倫相手はカナダ人とのことですがこれを外交機密だとか言ったら怒るぞ。

広瀬参議院議員といえば昨年のエッフェル姉さん問題でも登場した人物ですが研修と言いつつ実際は観光旅行だったパリ研修の報告もまだ聞いていません。

いったいどんな意義があったんでしょうね。

実際はお遊びなのに研修だと嘘をついている前科があるので個人的な不倫デートの支出が政治活動費として計上されている懸念がぬぐえません。

本当に政治活動の為にお金が使われたのがどうかきちんと開示して貰う必要があります。

もちろん政治活動のための支出でなかったら雑所得と見なして税金を払うべきです。

 

しかし残念なことにバレないんだったらやりたい放題という認識の裏金議員が正直に確定申告するかというと甚だ怪しいです。

これについては厳しく税務調査を行うべきですが一方で政治活動費か個人的支出かの線引きが難しく金額的により大きな案件が民間にあるのでコスパの観点から国税は動きにくいといった話を元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は言っています(東京新聞記事「億単位の裏金がバレても「政治資金」で届けたらOK 庶民なら「脱税」なのに…現行ルールのガバガバ具合」)。

たしかに政治家さんだったら言い訳ぐらい考えているでしょうしそう簡単には政治活動費でない個人的支出だと認定するのは難易度が高くなるかもしれません。

脱税額の発見金額の多寡でお役所内での評価が決まるなら脱税を見つけても金額的にたいしたことがない政治家に税務調査を行うメリットは国税職員にとって小さい、それどころか権力者に目を付けられでもしたら出世に響きかねないので税務調査に及び腰になるのも無理もないですね。

とはいえそれだと政治家はやりたい放題で役人は見て見ぬ振り、一般国民だけ増税が降ってくるというとんでもないディストピアです。

そもそも民間事業者だって事業のための支出か個人のための支出か厳しく税務調査でチェックされますし政治活動費だって同じことです。

金額的に小さいので税務調査したくないとの話も民間では売上1000万円未満の零細事業者にもわりと税務調査が入りやすくなっています。

売上1000万円というと消費税の課税事業者になるか否かの分かれ目でありこの額すれすれだと売上を過少申告しているのではないかと疑う税務職員もいるのです。

売上1000万円未満の事業者にも容赦なく税務調査はするしインボイス制度も導入されてこの種の零細事業者に厳しい逆風になっています。

にもかかわらず4000万円未満の裏金ならお咎めなしというのはあまりにも理不尽です。

零細事業者にも厳しく税務調査するんだったら私腹を肥やし零細事業者以上の事業規模になっている裏金議員にも等しく税務調査を行わなければ公平な課税制度とは言えません。

政治資金収支報告書の訂正でも堂々と使途不明と言い放つ人もいましたがこんなもん民間だったらアウトで事業者も顧問税理士も国税から厳しく詰められ加算税もかかります。

政治家だけ特別扱いするわけにはいきません。

というか政治活動の自由を名目に使途を一般公開しなくていいんだったらその分より厳しく税務調査を行わないと政治家のやりたい放題になります。

脱税調査の金額的な要件を下げると民間事業者の事例でも金額的な要件を下げなければならなくなるといった話も政治家と民間事業者では脱税リスクの大きさが違います。

不公正な制度で守られている特権階級である政治家は脱税リスクが大きい分、民間より税務調査のハードルを下げるのはリスク管理の観点からも有用です。

 

国税職員が政治家に対する税務調査を行うメリットに関してもメリットというかデメリットを避ける観点があります。

税務署の採用募集ポスターの件で色々と問題が起きていますし(ゲンダイ記事「国税庁が「採用情報」リプライ遮断の閉鎖性…自民裏金疑獄が飛び火でSNSも大荒れ」ヤフーニュース)各地の税務署で納税者の抗議も発生しています(テレ朝ニュース記事「「議員は納めてない」確定申告窓口にクレームで受付困惑 国会でも「なぜ脱税問えぬ」」ヤフーニュース)。

これを放置しておくと税務行政に対する信頼が失われてより仕事が難しくなったり優秀な人材が集まらなくなる、納税者からの抗議によるストレスで若手中堅が離職する可能性もあります。

政治家に対する税務調査で一般国民が持つ税務行政に対する不信感を払拭しない限りこれらのデメリットは解消されないでしょうね。

 

上述の通り政治活動費の透明化は当然必要でこれから制度改正に向けて取り組んでいく必要がありますが税務調査に関しては制度改正を待たずに実行可能です。

政治倫理審査会に出席した裏金議員の弁明や出席すらしなかった裏金議員の誠実性を考えると今すぐにでも国税は裏金議員全員に対して税務調査に着手する必要があると思いますね。