1389ページ目 バブル後最高値と消費支出9カ月減

年明けの日経平均株価が好調です。

連日バブル後最高値を更新し今日はとうとう3万5000円台の大台を回復しました。

この水準は1990年2月以来だそうです(読売新聞記事「日経平均終値、3日連続でバブル景気後の高値更新…「相場に過熱感」の声も」ヤフーニュース)。

実に34年ぶりですが正に昇竜の如き上昇ぶりです。

株相場では辰巳天井といった格言もありますが年初から新ニーサ開始による個人投資家の参入もあったのでしょうね(産経新聞記事「辰巳天井の相場模様、株価34年ぶりの高値 新NISAが上昇寄与も先行きに政変リスク」ヤフーニュース)。

このまま順調に株価が上昇してくれればよいのですが問題は株価は好調でも個人の景気、特に中低所得層の景気がとても良くない点です。

 

実質賃金が20カ月連続の減少ですし(FNN記事「「実質賃金」20カ月連続マイナス 「現金給与」総額は0.2%増も」ヤフーニュース)消費支出も9カ月連続で減少です(日経記事「消費支出、23年11月は実質2.9%減 9カ月連続マイナス」)。

そして家計支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数は43年ぶりに過去最高水準です(第一生命経済研究所記事「エンゲル係数が過去43年間で最高域」)。

株価は上昇しているのに一般国民の財布の中身は減る一方で食卓も貧しくなるばかりです。

 

こんなことを言うと株価は景気の先行指標なのでこれから一般国民の生活は楽になるだろうといった話を政財界の上級国民あたりが言い出すかもしれないですが実際のところ株価は本当に景気の先行指標なんでしょうかね。

その辺の話は東証マネ部記事「株価は景気に先行するのか?遅行するのか?」に説明がありましたが「株価は経済に限らずあらゆるイベントに対して、先取りも遅行もしない」とのことです。

株価は景気の先行指標であることを示すエビデンスを提示した論文が今後出てくるかもしれないし他にも様々な見解があるのですが株価が爆上げ中なので景気がよくなると期待し過ぎるのもぬか喜びになる可能性もあります。

というか日経平均株価の上昇は円安メリットを受ける重厚長大の製造業が牽引している面もあるので国内消費に関してはそこまで利益が大きくないというかむしろ国内製造業や小売業にとっては円安による原材料費や仕入れ価格上昇の悪影響が大きくなります。

日経平均バブル後最高値は国内経済を犠牲に外需型の輸出産業とインバウンドの恩恵を受ける観光業を支援した結果でありこれらの会社の株を中心にした株価上昇は一般国民、特に賃上げの恩恵を得られる大企業の正社員や経営者以外の中低所得層の生活悪化を示す景気指標となっている可能性もあるんじゃないかと思えてきます。

実際、電機大手にせよ自動車大手にせよ昭和の日本のように革新的な製品で世界を席巻しているわけでなく円安だから儲かっているに過ぎず本質的な競争力自体はかつてより低いかもしれません。

こんな状況だから今後もより一層節約生活を送らざるを得ず必然的に消費支出は減り必要最小限の食費は維持した結果としてエンゲル係数も上昇するといった形で数字に表れてきたんでしょうね。

 

経済界、特に住友財閥とか経団連はそれでも構わない、むしろ一般国民に何か恨みでもあるんじゃないかというぐらいに自社利益と役員報酬最優先の経営をやっていますが一般国民からすればたまったものではありません。

国内経済を犠牲にする株高がいつまで続くかどうかは不明ですが輸出で儲ける大企業だって中小下請けの協力なしにはやっていけません。

円安だけでなく下請けを買い叩いてコストカットして儲けを出している状態でもあるのですが下請けだってもう限界です。

海外に発注すればいいと言っても円安ですし海外だってインフレですから品質と価格の同時追求ができるとは限りません。

経済安保の観点からヤバい国の企業に発注するのも問題になります。

上述の記事でも「相場に過熱感」だとか「政変リスク」だとか微妙に警戒感がにじみ出てくるような内容になっています。

国内景気も好調だったらもっと楽観的な記事になったのかもしれないですがバブル期並みに国内消費が活発というわけでもありません。

年初から大地震や大事故、通り魔とか色々物騒な話も出てくるし先行きの不透明感はぬぐえないものがあります。

それに辰年のジンクスは株価の話だけでなく政治の話もあります。

実際裏金問題とか炎上中な上に政治刷新本部のメンツを見る限りとても改善が期待できそうにありません。

政治で大崩れした結果として辰巳天井、今年と来年で株価の上昇が頭打ちになり2026年2027年で午尻下がり未辛抱という状況になる可能性もないとは言い切れません。

2026年2027年に中国のバブル崩壊だとか台湾侵攻もあった場合は株価もそういう動きになっても不思議ではないです。

まだ2024年は始まったばかりですが株価と景気はどうなるんでしょうね。

株価も景気も昇龍の如く上がってほしいんですけどね。