1315ページ目 後発薬不足なのに先発薬は値上げ

先発薬の患者負担が上乗せされる方向となりました(日経記事「先発薬の患者負担上乗せ 厚労省案 後発薬への移行促す」)。

医療機関で処方される薬代も健康保険の対象となっており先発薬と成分が同じで安価な後発薬に切り替えを促し医療費抑制を図るのが背景です。

なお先発薬は数円から数百円の負担増となります。

 

効き目が同じで安いんだったら後発薬を選択するのが合理的ではあります。

患者負担3割保険負担7割ですが政府も患者本人もコスパ優先の観点で考えればジェネリックを使うのが妥当です。

ただしそのジェネリックが安心安全な薬、かつ、供給も十分あり品不足にならないことが大前提なのですがね。

 

上述の記事を目にしたときは政府は正気なのか?岸田内閣は国民を殺す気満々だなと思いましたね。

増税クソメガネとか言い方が甘かったかな?

今ね、そのジェリックが不足していてみんなとても困ってるんですけど国会議員だとか厚労省の偉い人たちはスルーしてるのかな?

いやいや厚労省調査「後発医薬品等の供給不安への対応について」もあり厚労省が後発薬不足を認識していないということはなくわざわざこのタイミングでやったということになりますね。

読売新聞記事「医療機関の74%「医薬品が不足」、せき止めなど1500品目…後発薬メーカーの不祥事影響」にある通りジェネリックはものすごく不足しています。

咳止めや解熱剤の他にも糖尿病薬や抗うつ剤、止血剤など薬が足りないと命に関わるものが含まれています。

インフルエンザやコロナで需要が増えたところに後発薬メーカーの不正が発覚し薬不足に拍車がかかっている状態ですがこのタイミングで一体どういう事なんでしょうか?

 

まだ案の段階で実施は来年以降ではあるのですが問題は後発薬メーカーの不祥事は今に始まったことでなく2021年の段階でも小林化工等(AnswersNews「不祥事に揺れた1年…後発品 供給不安で市場混乱|製薬業界 回顧2021(1)」)が問題を起こしています。

中でも小林化工は悪質で抗真菌剤に睡眠薬の成分が混入し健康被害が生じており結局業務停止の末に製薬業は廃業しました。

なおこの年には小林化工の他にも日医工第一三共エスファ、久光製薬等々9社で不祥事が発覚しています。

2022年も供給不足は継続していますが後発薬使用率は8割(MBS記事「使用率は約8割『ジェネリック医薬品』が足りない!背景に「メーカーの不祥事」「業界特有の生産事情」薬局と患者の悲鳴」)となっており国民だって懐事情が厳しくコスパ優先で別に先発薬値上げがなくても後発薬を選んでいる、後発薬の需要も増加している状況です。

需給が一致していない状況ですが後発薬は多品種少量生産という特徴があり増産しろといったところでそう簡単に増産できるものはありません。

そもそも薬九層倍の先発薬と違って後発薬は薄利多売ですから設備投資だって大変です。

この点も少品種大量生産に変えていこうといった案や(読売新聞記事「ジェネリック医薬品の供給不足解消へ…多数メーカーの「少量多種」生産を集約、厚労省会議が対策案」)品質も含めた供給力を持つメーカーを優遇する(日経記事「後発薬「企業の供給力、評価を」 厚労省検討会」)といった案も出ていますがこれも会議で決めたらすぐに品質が向上したり需要の多い薬品を大量生産できるようになるわけではありません。企業側で設備投資や業務の変更に応じた人事と研修も必要になるので後発薬不足が即解消するかどうかは疑問です。

 

というか今年も沢井製薬で品質不正が発覚しています(読売新聞記事「沢井製薬の品質試験不正で武見厚労相「後発薬の信用を著しく失墜し大変遺憾」」)。

沢井製薬については2021年に社長が東洋経済記事「沢井製薬トップが語る後発薬業界「不正」の教訓」で不祥事を他人事のように語っていますがこういう姿勢が余計に心配になってきます。

大手からしてこんな人が社長をやっているあたり設備投資で供給力を増やしてもまた不祥事が出て業務停止になり供給不足になるんじゃないかと思えてきます。

 

後発薬の使用率8割かつ後発薬不足が長期化している状態で先発薬を値上げするというのは医療費削減というか値上げによる国民負担の加重が真の目的と言わざるを得ません。

もうずいぶんと社会保険料は値上がりしていますが値上がりした割に薬不足で困っているとか負担したのに受益できていないという状態です。

こんな状態で社会保険料を上げる、しかも医療保険の仕組みを利用して少子化対策財源を支援金制度で賄うとか冗談じゃありません。

国民を殺す気満々なのが岸田内閣から伝わってきますが国民の命を守れないということであれば契約違反です。

他の候補が見当たらないのが残念ですがさすがに私も死にたくはないので岸田内閣はNOと言わざるを得ませんね。

薬に関してまずやるべきことは安心安全のジェネリック安定供給が先であり先発薬の値上げは安心安全なジェネリックの安定供給が確認でき需要不足が解消してから実施すべきと考えます。