最低賃金について厚労省は目安を1002円に設定する方針を決めました（産経新聞記事「「生産性向上の支援を」 最低賃金１千円超で経済界」ヤフーニュース）。
やっとかといったところですがこの水準でもドルベースで見れば不十分、1ドル130円台から150円台で介護などのキツイ仕事をやってくれる若い外国人労働者が来るかどうかは疑問だったりします。
今日の日経朝刊記事「最低賃金 平均1002円」にも最後の方に円安と為替換算の話があって欧州各国はもちろん韓国にも負けていて9860ウォンの最低賃金を円換算するとだいたい1080円になるといった話があります。
これじゃあ日本より韓国に出稼ぎしたいと考える人が多くなるでしょうね。
経済界は最低賃金1000円についてかなり渋りましたがこの人たちは本人や家族親戚が介護を受ける状況になった時のことを考えているんでしょうか？
介護業界も人手不足で外国人の訪問介護を認める方向で議論されていますが（時事通信記事「外国人の訪問介護を検討 人材不足で制度見直し 厚労省会議」ヤフーニュース）円相場次第で吹けば飛ぶような金額の賃上げで誰が日本人の老後の世話をしたいと思うでしょうか。
元々介護業界は高度なスキル及びコミュニケーション能力が要求される割に賃金水準が低く労働力なかなか集まらず日本人だけでは明らかに足りないです。
経済界の偉い人はカネを積めばいくらでも日本人介護スタッフによる介護サービスは受けられるでしょうが親戚はどうする？
一家全員一族全員勝ち組だったら問題なさそうですがそうでない場合もあるかもしれないです。
親の面倒は長男長女が見ろと言っても弟が経済界の偉い人で長男長女は普通のサラリーマンでカネが足りていなかったら親や長男長女は弟にカネを出せと言う、舅と姑の実子は経済界の偉い人に嫁いだ娘だけがセレブで後は一般国民だったらカネのある婿がカネを出せといった話になるかもしれません。
叔父や叔母、もっと遠縁の親戚の介護も経済界の偉い人は責任をもって対応できるのか？
親戚だけどそこまでする義理はないと言ってもお前らが円安誘導かつ賃上げしないから介護で人手不足になってウチが介護を受けられないじゃないかといった話になったらどうするのか？
親戚同士でその議論をするのはかなり殺伐とした話になりそうですがそれでもいいのか？格差社会では一族全員顔を合わせるお盆と正月はかなり居づらくなるかもしれないですね。
賃上げして労働力を確保しないと介護難民大量発生の懸念も生じますが経済界が円安を望むということであれば外国人労働者が円安により被る不利益については円ベースでの賃上げで補填しなければなりません。
円安で観光客は増えるけど労働者は来ない、円高なら観光客は減るけど労働者は来る、インバウンドや輸出をやるので円安継続ということであれば円安で損をする分の賃上げはする、円ベースで儲かった分の還元は必須と言えます。
1000円じゃあまだ全然足りないんですが来期以降も最低賃金の引き上げ継続が望まれます。
