1024ページ目 年収1000万円プレイヤーと配偶者控除

ユニクロが大幅に年収を引き上げ最大40%アップ、初任給も30万円にするそうです。

優秀な人材を確保しスタグフレーションに対応するといった狙いもあるのですがユニクロ正社員の平均年収は959万円です。企業全体としてはかなり上の方ですが1000万円の壁を突破すると各種優遇措置が縮小廃止になり特に配偶者控除は適用されなくなります。状況によっては年収が上がった方が大変になるといった人も出てきそうです。

一方で税収の確保という観点からは負担率が大きい労働者が増えるほど有利になるわけで案外政府から何か要望があったのではないかと思えてきます。

配偶者控除が不公平だという話も上がっていますがいざこの制度を廃止するとなると逆に配偶者控除の恩恵を受けている人、年収が高くない世帯に対する実質的な増税となりうまくいきません。そこで大企業には特に賃上げを促し年収1000万円プレイヤーを増やすことで適用対象者を実質的に減らしていく、男女賃金格差で女性が賃金を低く抑えられている企業に是正を促すといった話があったのかもしれません。

なお負担率の話は年収1000万円に限らず他の優遇措置でも年収700万円台が一つの目安になっていますがまずは年収700万円を目指して賃上げを促すといった政策も考えられます。

2021年における上場企業の平均年収は500万円以上600万円未満984社、600万円以上700万円未満783社ときて700万円以上800万円未満442社となっており(東京商工リサーチ年度別平均年間給与金額別調査参照)年収700万円以上が一つの壁になっています。

各種優遇措置は600万円台より減りここでも賃上げされてもあまりうれしくないといった人も出てくるかもしれません。

ただその一方でスタグフレーション経済でも年収700万円以上が老後に毎月20万円の年金を受給できる目安となっており年金も老後の生活にとって安定要素の一つとなることも踏まえて改めて年収700万円以上の確保を再検討するのも一案です。

なお上場企業なのに年収500万円未満しかない企業も742社ありコロナ禍等で巨額の損失が出た等特別な事情がない限りさすがにこの種のケチ臭い企業がプライム市場に上場するのもどうなのかと思いました。

年収が上がればその分税金の負担率も増えるもののそれでもトータルで見れば税収自然増で税率を上げなくても済む、一定段階の年収を超えることで実質負担率が上がる労働者も出てくるものの老後も含めた人生全体を見れば優遇措置が一時的に減っても損とは限らない、全体としては賃上げにより可処分所得の増加で巡り巡って企業業績も向上するのも考えるとやはり賃上げは継続して行っていくのが妥当と思います。