1232ページ目 嫉妬をなくす薬

精神科医とかカウンセラーとか宗教家がよく言う気休めの言葉だとかそういうやつじゃなくて文字通り薬剤の話です。

この薬を使えば嫉妬がなくなる、7つの大罪の一角である嫉妬ですがこれを治す薬というのがもしかしたらできるかもしれません。

日経記事「嫉妬・劣等感 どう発生?サルで実験、神経回路解明」を読むと薬剤で一時的に特定の脳神経細胞の伝達回路の機能を妨げると自分の報酬が人より少なくても嫉妬しないし劣等感も抱かないといった効果がサルで確認されたとのことです。

自分だけエサが少なくても文句を言わないし行動もいつも通りで変わらない、これを人間に用いれば格差社会で困っている人とか同僚に出世で先を越されたり結婚して子供を産めた人を見ても嫉妬の感情だとか劣等感とかを抑制でき悩まないから仕事のパフォーマンスもその分下がらないという効果が期待できそうです。

 

…が、これものすごくヤバい奴だと思うんですよね。

ブラック企業でも生き生き働けるようになるクスリ、政治に不満があって自民党議員のパリ視察みたいなのがあっても一般国民が文句を言わなくなるクスリとして用いたら偉い人たちのやりたい放題じゃないですか。

嫉妬だとか劣等感という負の感情は持つ方も持たれる方もかなり苦しいんですけど反面でそれがあるから嫉妬する側は勝てるように能力を高めようと努力する、嫉妬される側も足を引っ張られないように自重するといった効果もあってこの世から嫉妬だとか劣等感を本当に取り除いてしまったらものすごいディストピアになるような気がします。

そしてクスリの処方箋を出すのは精神科医ですがクスリ漬け医療の現状を考えるとかなり危ないようなことになったりするのでは?と心配になってきます。

 

ブラック企業とか政府が仮に全国の精神科医に対して何かの通達を出し負け組にこのクスリを使用してマインドコントロールしたら下克上も内部告発政権交代も起きないかもと思うんですがつまりヤバい企業経営だとかヤバい政治で搾取が続くことになります。

そうなったらどうなるか?失われた30年で偉い人はカネも名誉も独占しましたが全体のパイが増えず世界全体で見れば日本国内の勝ち組も含めて全体的に日本は貧しくなりました。

一般国民の嫉妬をクスリで無理やり抑えたところで全体の方向性というか戦略を決定する偉い人が根本的に政治なり経営なりを変えないと嫉妬をなくすクスリもやはり気休め程度の効果にしかならないでしょうね。個人のやる気よりむしろ経営戦略とか政策が根本的に的外れだったら無理、戦略の誤りは戦術で挽回できない、個々人の自助努力ではどうにもならないのです。実際、いい加減な作戦で太平洋戦争は日本の完敗でした。

自助努力で挽回できないような環境を経営戦略だとか政策だとかの上の方の意思決定で作っておきながら格差社会で成功できないのは自己責任なので嫉妬するなと言ったってそれは逆切れと言うものです。

嫉妬がこの世から消えれば下はひたすら現状維持で上を目指して努力したり環境を変えるために投票所に足を運んだりもしなくなる一方で上はひたすら搾取を繰り返し全体のパイを大きくしなくなる縮小均衡がそのまま肯定されるという負のスパイラルが日本人自体が消えるまで続くでしょうね。まあ日本だけ貧しくなっても嫉妬をなくす薬を使えば世界と比較して貧しくなっても問題はないのでしょうがそれでいいんですかね自民党とかによくいる愛国者さんたちは。

 

嫉妬をなくす薬がいつ実用化されるのかは不明ですが処方に関しては非常に危険な代物になりそうです。偉い人のやりたい放題なんて冗談じゃありません。

果たしてこの薬を実用化してよいものかどうか、実際に用いるにしてもブラック企業経営者を利するような結果になってしまわないかどうか心配ですのでこの薬の処方は相当厳格な要件を定めた方がよいのではないかと思います。