1111ページ目 第四次産業革命と社会保障費の応能負担

少子化対策や防衛費増額で財源問題が昨年から何かと話題になっています。

物価上昇と上がらぬ賃金で生活が苦しいんですが経団連は財源負担について広く薄く隔たらずと言っています。

一見するとまっとうな主張のようですがそれは富の格差が小さく一億総中流社会で各人に負担能力があるのが大前提です。

格差が拡大した時代は負担配分について抜本的見直しが重要になってくるでしょう。

近年ではデジタル化が世界レベルで進みチャットGPTでワードやエクセル作業が飛躍的に楽になれば(毎日新聞記事ワード、エクセルにAI搭載へ 米MS「チャットGPT」の技術活用)ホワイトカラーのリストラが進む可能性もある反面で成果は経営者の総取りになる可能性も想定されます(マネーポストweb記事「ChatGPT」登場で“大リストラ時代”は10年前倒しか 米IT企業はすでに大量解雇の動き)。

Microsoft 365 Copilot in Wordも動画で確認しましたがテンプレ文章があっという間に作成できてしまうのはとても便利な反面(甚だ無駄と理解しつつも個人的にはメールの類で時候の挨拶についても自分で考えたいのですが)でデータの蓄積が進めばテンプレっぽくない文章も誰かの作風に似せて作成できてしまう、クリエイティブな職種なら代替不可能と言えどもいつか追い付かれる日が来るかと思うとさすがに心配になってきます。

副操縦士」に全部任せられる日が来たら後は操縦士の仕事は副操縦士の業務につき最終的な責任を負う事及び副操縦士の業務の品質が妥当かどうかチェックこと及び本社の上司との会議をするぐらいしかなくなる可能性も考えられます。

まさに冥王星水瓶座時代がこの種のツールに象徴されているように思えてくるのですがもしかしたらこれが何かの導火線の一本になるかもしれません。

使用を制限する動きもありますが(朝日新聞記事「チャットGPT、欧州で規制強化の可能性 イタリアでの利用禁止受け」)200年前の産業革命で起きたラダイト運動も失敗に終わったことを考えるとこの規制もおそらく失敗に終わるのではないでしょうか。

仮に欧州が規制してもどこかの国や地域が「チャットGPT」特区を作って一人勝ちを試みるように思えてならず世界レベルの規制を検討しているうちに世界各国の企業内で定着し制限により業務が滞るレベルになってしまえば規制するのも難しくなる可能性もあります。

規制が追い付いておらず現在ルールがほとんどない状態ですがここで圧勝した企業が21世紀のスタンダードになり格差を覆せなくなる懸念もありもはや後戻りできない状況になってしまった以上デジタル化をやりたくない、AIの類で仕事がなくなるので使いたくないからチャットGPTのようなツールの活用はしないという方針はやめたほうがよさそうです。

とはいえ第4次産業革命とも言うべき技術革新が起きる一方で富の再分配制度が現状のままだと富の独占が一層進む可能性があり応益負担の考え方では負担分の支出ができる富裕層はサービスを受け取れる一方でどんなに必要であってもお金を支払えない負け組はサービスを受け取れない未来に成り得るでしょう。

税や社会保険料負担は応能負担を原則とする方向に舵を切らないと少数の勝ち組以外全て死に絶えることになりかねません。

社会保障制度は国民の安心と生活の安定を保障するセーフティネットのはずですが応益負担は生存権社会権の侵害で社会保障のための税と社会保険料こそ国民の不安と生活の不安定化の元凶と言う人も増えるかもしれません。

意識を変えろと言うなら富の独占が進む現在及び未来の社会を踏まえ公費負担の在り方を経団連の言う「広く薄く隔たらず」からノーブレスオブリージュの精神で勝ち組に応能負担して貰う必要があると思います。