1103ページ目 児童手当と所得制限

児童手当の所得制限撤廃については賛否両論が上がっています。

子供は社会全体で育てるべきなので所得に関わらず一律に給付すべき、年収1000万円以上の高所得層は既に累進税率で負担が重くもっと便益を還元すべき、物価上昇で年収1000万円でも足りないといった声もあって所得制限撤廃の方向で議論が進み東京都では国に先駆けて所得制限なしの自治体独自の給付を行っています。

一方で財源確保を理由に中低所得層の税や社会保障費で負担を増やすのは富の逆再分配である、年収1000万円でも足りないのは家計で見栄を張った出費が多過ぎるのではないか、そもそも高所得層が高所得なのは富を中低所得層に還元しておらずエッセンシャルワーカーほど厳しい状況になっている社会構造自体に問題があり累進課税の強化はもちろん自助共助公助の順番で自助を優先して貰うべきといった理由で児童手当の所得制限撤廃について反対の声も上がっています。

実際にやるとなると相当な財源が必要になりますが現実に児童手当を増額して出生率が上がるかというと過去の日本の事例から考えても困難でしょう。

事実、日本における家族関係政府支出で1990年は0.3%ですが2019年は1.7%になり予算は5倍以上になっていますが出生率は逆に30%減少しています(参考フランスと日本の出生率に差~日本の20代が結婚できない問題ヤフーニュース)。

国に先駆けて東京都が所得制限なしの給付を行うのは上場企業の本社が東京一極集中で1000万円プレーヤーが都内に一極集中している一方でテレワークの普及により郊外に脱出する年収1000万円プレーヤーを引き留めたい思惑があるのでしょう。

都知事の立場としては都の有権者に1000万円プレーヤーが多いので当然所得制限撤廃に動くのは合理的なのですが国がその政策に引っ張られるのもどうなのかとは思います。

むしろやるべきなのは若い世代が多数含まれる中低所得層の可処分所得向上です。

可処分所得の減少に比例して婚姻率も出生率も下がっており少子化対策のため税や社会保険料を上げて手取りを減らそうものならかえって逆効果になるのが目に見えています。

少子化対策のたたき台全部を仮に実行すれば8兆円かかるといった試算もありますが8兆円分を民間から召し上げればどうなるか?

これまで消費税を上げるたびに少子化対策についても大義名分に掲げてきましたが不景気になって給料の額面も減った上に税と社会保障で手取りの割合も下がった結果として30年前よりも日本人の可処分所得は減りました。

異次元の少子化対策で異次元の負担増により異次元の少子化が異次元レベルで進行する未来になりそうな予感がします。