円安や原料高で資材が高騰し函館から札幌までの新幹線延伸は約2兆3千億円になる見通しとなりました。
当初から6000億円の増額です。
2030年末の開業予定で札幌オリンピック招致を当て込んだ投資なのですが本当に採算はとれるのか不明です。
羽田から新千歳までだとLCCなら1万円弱で行けて時間的には諸手続き込みで4時間弱です。
一方で新幹線は東京から函館まで2万2千円、時間は4時間で札幌延伸だと当然運賃は2万2千円以上、時間も4時間以上でもう話になりません。
東京ですらこの水準ですから名古屋や大阪あたりだとわざわざ新幹線を使う必要はない、リニアは2027年開業予定で品川名古屋間は40分、予定は未定ですが大阪からだと1時間ですが飛行機でも大阪や名古屋から札幌に行くのも東京からとそう大差はなく敢えて新幹線を使うとすれば仙台あたりから札幌までの区間でしょうか。
需要がどれだけあるか不明で追加の6000億円分のコストをどうやって回収するのかも不明ですが札幌オリンピック招致と併せて当初の計画通りだからと言って押し切ろうとする展開が容易に想像できます。
建設に当たっては国からの補助金も数千億円単位で出ますがこの種の箱物を建設しながら社会保障費や防衛費増税というのはどうなのかと思います。
建設費高騰で難しくなってきましたが無駄の削減を考えるなら採算性の悪化も踏まえて計画の見直しをしてほしいものですね。
一方で北海道からすれば赤字で建設した後はお荷物になるのは承知で目先の景気対策として新幹線札幌延伸やオリパラ招致をやらざるを得ないといった状況もあるのでしょう。
新幹線を作る代わりに赤字の地方路線を廃止するといった話もあるかもしれません。
ただ2030年以降はどうするんでしょうか。
計画を推進する人たちは10年間時間稼ぎをして本人たちは逃げ切る、あるいはそれまでに産業の構造転換を図る意図があるのかもしれませんが失われた30年で産業の構造転換は炭鉱から観光へとか色々やろうとしたわけで今後の10年の見通しは立っていません。
オリパラ招致や新幹線建設等ハコモノ公共事業で地域経済を回す昭和平成のやり方をいつまで続けられるか、2030年の時点で大赤字の札幌新幹線をどうするかが問題になっていそうですがどうしても作るならその後始末も考えておく必要がありそうですね。