円相場が1ドル161円70銭台になりました(朝日新聞記事「円が一時1ドル161円70銭台 米長期金利上昇、収まらぬ円安圧力」ヤフーニュース)。
1986年以来、約38年ぶりの円安です。
今年の4月5月に1ドル160円を突破したあたりで為替介入が行われ1ドル150円台に戻りましたがたった2か月ちょっとで戻ってしまうとはね。
為替介入は望ましくないと米国の偉い人は言っていますが所詮2か月程度のその場しのぎにしかならないことを見通していたのでしょうか。
さて為替介入を実施した神田財務官は今月末で退任します(朝日新聞記事「為替介入を指揮した神田財務官、7月退任へ 財務官交代は3年ぶり」)。
神田財務官は今後どうするのかは不明ですが円安について原発再稼働で火力発電の燃料の輸入を減らし貿易赤字も減らすべきだと主張しています(共同通信記事「貿易赤字解消へ原発再稼働推進を 財務官が報告書、懇談会の会合で」ヤフーニュース)。
まあ退職後にどこへ行こうと知ったことではないですが原発再稼働で円高になるといった説はどうかと思いますよ。
というのも1ドル80円台だったのは原発が東日本大震災で稼働できなくなった民主党政権の頃だったからです。
当時は原発停止で火力発電の燃料需要が急増するから貿易赤字が増えるといったリスクより海外からの投資引き上げで円が買われる、ドル売りが増えると思われて円高が進みました。
1ドル70円台とか今からすると信じられませんよね。
海外からの燃料購入費より円という通貨の需要がないことが根本的な問題に思えるんですよね。
原発再稼働で輸入資源の量が減り日本からの富の流出量が減れば短期的に円高になるかもしれないと思わなくもないですが根本的には高いカネを払っても売れる商品を作れない日本に問題があります。
あと国内投資が不十分なのも原因なんじゃないかと。
公共事業とかだいぶ削りましたけど莫大なカネが工事に流れているうちは円の需要もあったわけです。
まあインフラ整備とか終わった状態では公共事業の必要性も減ったので無駄の削減という流れになりましたがね。
ただ今後は老朽化したインフラの整備もやらないといけませんしそこは対外債権を売って日本円を用意しインフラ整備の工事代金に充てたら円高になるし海外から工事の職人さんも呼べると思うんですけどね。
円安の原因はドルの需要よりむしろ円という通貨に需要がないのがそもそもの問題ということなら原発再稼働が円相場の変動に与える影響はそんなに大きくないのです。
円安には世界に売れる製品やサービスの開発と日本への投資促進が重要です。
減税しても日本への投資をせず海外に投資する日本企業の存在を考えると法人税減税はやめてその分の税金を老朽化したインフラの再整備に充てれば日本国内で円の需要も増えますし円相場も1ドル120円台ぐらいに戻るかもしれませんがまあ相場は何が起こるかわからないものです。
ドルや円もどうなるか分からないということなら金製品とかは売らずに手元で保管しておくのもいいかもしれないですね。
…もし首都直下型大地震が起きた場合も気にはなっています。
大勢の家屋を失った人たちが保険金を請求することになりますけど保険会社は保険金の支払いのためにドル建ての海外資産を売却して円を用意します。
ここでドル売り円買いが発生します。
大規模災害で保険金は支払いませんとか言ったらたぶんみんな怒りますので政府としては一応保険会社に保険金の支払いはさせるんじゃないかと思います。
レパトリ減税の話もこの前にありましたけどまあ東日本大震災や阪神淡路大震災で円高が進んだ、対外債権を世界から引き上げて日本での復興予算に回すことになればレパトリ減税なんてやる必要がないほど日本、特に大企業の本社が多数ある東京にカネが集中するかもしれないですね。
コロナ禍の経済活動制限が終了してまた東京一極集中が進んでいますがでっかい本社ビルとか無駄なハコモノを作りたがる日本の大企業の経営者たちは大地震が起きたら被災した本社の再建でそれなりにカネを使うんじゃないか?
首都直下型大地震に備えて財政を健全化しようなんて話は必要ない、復興予算は日本政府保有の対外債権だけでなく民間企業保有の対外資産も含めて賄ったらいいんじゃないかと思いますよ。