37ページ目 9月入学制度

コロナウイルス流行のため休校になっている学校をどうするか。

複数の知事から今回の問題をきっかけに学校を9月入学にすべきではないかといった意見が出ています。

日本では3月卒業4月入学が一般的なので実現したら大きな制度変更となり幅広い場所で影響が出るでしょう。

ただ長い目で見るとメリットの方が大きいのではないかという気がします。

休校期間中のカリキュラム消化については夏休み冬休みを潰して補習するといった話も出ましたが夏休み冬休みは熱中症や風邪のリスクが高い時期に子供の安全を守るためにあります。

にもかかわらず無理をして授業を実施した場合のリスクは大きいです。

今後いつコロナウイルスの流行が終息するかわかりませんがゆとり教育見直しで大幅に増えたカリキュラムの消化は夏休み冬休みを潰しても容易ではありません。

オンライン化すればいいという意見もありますがネットでできない実習はどうするのか。

医学部や看護学部など人命にかかわる学部学科で実習が不足するのは心配ですが無理に3月卒業にせずしっかり勉強してほしいと思います。

学費の問題も深刻ですでに一部返還をめぐる動きが出ていますが大学無償化対象外で数百万円、医学部は数千万円の学費を払っている家庭にすれば1年間ちゃんとカリキュラムを行わないのは納得いかないものがあるでしょう。

学校側にしても予算が潤沢な学校はオンライン化を進めやすいですが予算不足の学校はよりいっそう経営が厳しくなることも想定されます。

入試についても9月入学にすれば6月末から8月頭ぐらいまでが受験シーズンになりますが現行の1月末から3月頭までの受験シーズンはインフルエンザ流行時期と重なっており受験で3密ができるのを防止可能になるという公衆衛生上のメリットがあります。

入試、入学、卒業、年度の切り替えイベントが9月にずれれば3月4月における学校側の負担は減少しますがこれにより春休みに授業を行う余力が出てくるでしょう。

もともとゆとり教育見直しでカリキュラムが増えている状態なので授業時間の確保は今年に限らず慢性的に必要な状況ですが春休みを廃止できれば多少は余裕ができるはずです(観光業は需要が減りますが)。

引っ越しの時期も分散化できます。

日本では3月決算企業が多く3月4月は社会人も人事異動による引っ越しシーズンですが毎年この時期は引っ越し料金が高騰し予約もできない事例が相次いでいます。

学生の引っ越しのピークを8月9月に持っていくことができれば3月4月の引っ越し業者の繁忙期を平準化でき社員の体調管理や働き方改革にもつながる、顧客は割高な料金の抑制や引っ越し難民化を防止できるといった効果も期待できるでしょう。

不動産賃貸でも9月に需要の波ができれば何かの事情で年度の途中に空室ができたが需要のピークの2月3月まで入居を待たずに済み数か月分の空き家リスクを減らすことができるメリットができます。

就活においても新卒一括採用の慣行が崩れる可能性もあります。

もともと通年採用の必要性が議論されてきましたが学校が3月卒業なのでこれに合わせて企業も4月一括入社にしている面がありました。

9月卒業にした場合、人手が足りないので今すぐ入社してほしい企業は9月入社、大規模な人事異動に合わせて年度初めの4月入社を維持したいという企業は4月入社と入社時期が割れる可能性があり結果として通年採用が普及することも考えられます。

欧米は9月入学が一般的で留学に不便なので日本も9月入学を一般化すべきとの声は前々からありましたが今回の問題をきっかけに9月入学導入の検討を考えていく時期にきたのかもしれませんね。