1051ページ目 三菱重工ジェット旅客機撤退

国産旅客機の開発を目指し1兆円もの投資を行ってきた三菱重工ですがジェット旅客機開発から撤退することになりました。

旅客機の部品は日本企業も実績がありますが旅客機そのものを作るのは難しく海外からの輸入に頼っていますが金額的にもけっこうな大金が国外に流出していきます。

さらに産業のすそ野も広く国産化できれば雇用の創出にもつながるので政府も後押ししていました。

しかし開発は全くうまくいかず納入延期が6回も続きそれでも未だ完成せず目途すら立っていない、かつ、追加の投資も必要という状況です。

これが平時であればプロジェクト続行もあったでしょうがカーボンフリー火力の開発、新型原発の開発、戦闘機含む防衛装備品の開発など他にも数千億円数兆円単位で投資が必要になりそうな案件もあり6回も延期したのにまだ作れない旅客機どころでなくなったという状況を考えると開発中止は他の分野に資源を振り向けるという意思表示と言えるかもしれません。

もっとも仮に別案件の投資でリソースを割けない状態にならなかったとしても6回も納入延期してもらい1兆円もつぎ込んだのにまだ開発できないというのではもう損切り一択です。

仏の顔も三度までと言いますが3回でも納入延期とか会社の信用に関わる問題です。

それが6回、最初の契約も含めたら7回も契約を履行できなかったことになりますが南蛮の孟獲将軍だって諸葛孔明に7回捕まったらさすがに降伏して大人しくなりました。

七転び八起きとも言いますが八回目の挑戦で開発成功の見込みが立っているわけでもなく七転八倒になりそうな気配すらあります。

6回も納入延期の交渉で成功した交渉担当者は相当すごい人だと思う、開発に成功していれば貴重なチャンスを6回も作った成功の立役者となっていたことでしょうが6回も交渉で成功してしまったがためにかえって傷が大きくなってしまった面は否めません。

任務自体には大成功だったものの会社としては損失が大きくなったのも残念な話です。

旅客機を作るのはそれだけ難しかったのか日本の科学技術力が昔よりも下がったのかどうかは不明ですがせめて1兆円分の投資で得られた知見を別の分野で活かしてほしいものです。