携帯電話大手のNTTドコモについて親会社であるNTTがTOBにより完全子会社化する方針を明らかにしました。
これが成立すればドコモは上場廃止ですが最大で4.3兆円の資金が株式の買い取りで必要になるようです。
ドコモが上場した90年代末期はPHS、次にiモード携帯といったモバイル機器が急速に普及しITバブルが発生していた時代でした。
この流れにのってドコモも携帯電話最大手として成長し通信料収入で莫大なキャッシュを毎年稼ぎ出しています。
NTT本体からすれば親孝行子会社と言えます。
ですが近年では他の携帯電話大手との競争、政府からの料金値下げ要請、国内携帯電話市場の成長頭打ちとうまくいかない海外進出、そして例のドコモ口座の問題など今後の行く末に陰りの気配が生じています。
また親子上場自体が好ましくないという意見もあり親会社であるNTT本体より子会社であるドコモの方が時価総額が高いという資本のねじれ状態を解消するといった目的もあるのでしょう。
完全子会社化に4兆円超もかかるとはいえ政府の料金値下げ要請やドコモ口座問題でドコモの株価が下落したタイミングなのである意味TOBに必要な金額はその分安く済むといった点もひょっとしたらあったのかなと思わなくもありません。
さてドコモ完全子会社化後はどうなるでしょうか。
ドコモの完全子会社化で間接部門費用を減らすことができる、役員数を減らせる、携帯電話と固定回線のセット販売がやりやすくなる等のメリットもありそうですがそもそも国内市場自体が頭打ちな状態は変わりません。
もちろん通信料値下げ要請も重圧です。
ドコモ口座を通じて通信インフラとしてだけでなく決済その他の分野に進出し通信料以外の収入を増やそうとしたもののこれも厳しい状況です。
海外進出もソフトバンクですらうまくいきませんでしたが今後NTTグループが再び海外進出に手を出しても成功できるかどうかは疑問です。
はたして90年代末期の勢いをドコモは再び取り戻すことができるでしょうか…