1140ページ目 正調おそ松節と昭和末期の空気

今日はGW最終日ですが東京でも朝から雨が降っています。

最終日ぐらい買い物にでも出かけようと思っていましたがやめにしてyoutubeでも聞いて時間を潰すことにしました。

さて色々聞いていてふと昔実家で見ていたおそ松くんのことを思い出し曲を視聴してみました。

正調おそ松節です。

懐かしい昭和テイスト、今はもうほとんど閉店してしまった場末のキャバレーのカラオケで流れていそうな雰囲気が何ともレトロです。

1988年の曲ですから正に昭和末期、作詞は30代だった頃の秋元康で歌唱は大御所の細川たかしです。

当時は今よりもアニメは子供向けと一部のオタク向けというイメージですがものすごい大物の起用です。

何となく聞き流していましたが歌詞を改めて読み直すと30年前の社会情勢がものすごくよく表現されていて興味深いものがあります。

 

1番ではサラリーマンのお父さんの話ですが終点間際のマイホームから満員電車で足を踏まれながら通勤し長いサラリーマン人生で頭を下げ続けているという設定です。

当時はバブル景気による地価高騰で終点間際じゃないとマイホームを買えなかった、東京だったら西部の奥多摩とか青梅、五日市あたりですかね。

まあたしかに空気はいいですが青梅駅から東京駅までだと約1時間10分ぐらいかかります。駅に近くに住んでいない限りかなり街は遠いと言っていいでしょう。

それでもローン残高は地価高騰で膨れ上がりこの時期にマイホームを購入した場合は本当に残ったローンも日本一な状況になっているかもしれません。

ローンの返済と痛勤で真面目に生きてちゃ馬鹿を見るといった心境になるのも無理からぬ話ですがその後のバブル崩壊と地価下落を考えると何とも言いようがありません。

 

2番は専業主婦のお母さんの話です。当時はお見合いで結婚したら専業主婦になる人が多かったですが家事や育児をワンオペで真面目にやるとなると忙しくて容姿を気にする余裕もなく気が付いたら太っていてジャズダンスを始めようとしたらレオタード姿が残念なことになってしまった、体重は日本一的な歌詞になっています。

が、今この歌詞を改めて考えると女性に対するルッキズムで問題があるといった話も出てくるでしょうね。

一応法律的には男女平等にはなっていましたが昭和末期はまだ女性の体重の話とか普通にギャグネタとして扱われている時代でなのでギャクアニメのアニソンとしてはこれも特に問題なしと秋元さんも判断したのでしょうか。

 

3番は子供の話です。

スネばっかりかじられたけど結局親孝行することもなく家を出て行った、態度も背丈もでかいけど心配でしょうがないといった内容です。

父ちゃんは年上なんだぞ何て言って年上風を吹かせているから冷めた目で子供から見られるんでしょうがいつの時代も親が子供を心配するのはよくある話で態度にしても昔から老いては子に従えということわざが使われているように成長して態度が大きくなるのもありがちなことです。

ただし背丈に関しては子供の頃の栄養状態がかなり影響します。

日本人の平均身長の推移を見ても終戦直後から2000年代半ばまで右肩上がりで推移しており1960年における30代男性の平均身長は約162cm、1990年における30代男性の平均身長は約169cmとたしかに背丈は親世代より大きくなっています。

 

なかなか昭和末期の空気が如実に表れていてこの時代の社会情勢や価値観とかの情報も読み取ることができるあたりはセンスのよさを感じます。

平成や令和の名曲も時代の空気を伝えるものがたくさんありますが曲が生まれた当時の時代背景なんかも想像しながら他の曲も聞いてみようかなと思います。